次世代AUTOSARでセントラルゲートウェイ、異なる車載ネットワークをスムーズに中継:ET2017
SCSKは「Embedded Technology 2017(ET2017)/IoT Technology 2017」において、異なる車載ネットワークの中継やセキュリティの実現に向けて、AUTOSARの次世代規格と位置付けられるAUTOSAR Adaptive Platformを用いたセントラルゲートウェイを紹介した。
SCSKは「Embedded Technology 2017(ET2017)/IoT Technology 2017」(2017年11月15〜17日、パシフィコ横浜)において、異なる車載ネットワークの中継やセキュリティの実現に向けて、AUTOSARの次世代規格と位置付けられるAUTOSAR Adaptive Platformを用いたセントラルゲートウェイを紹介した。
Adaptive Platformは自動運転やコネクテッド化、ADAS(先進運転支援システム)をサポートする次世代仕様だ。SCSKの説明員は「AUTOSARでもセントラルゲートウェイを開発することは可能だが、通信タイミングの調整や、セキュリティに必要なメッセージ認証など新しく機能を増やしていくことを考えると、Adaptive Platformが最適だ」と説明した。
会場では2つのユースケースを想定したデモンストレーションを実施した。1つは、CANで通信する制御系ECUと、イーサネットに接続するセンサー関連のECUの連携だ。連携に必要な時間がミリ秒単位に収まるようにパケットの中継を行う。
具体的には、走行センサーが取得した車速などの情報を走行センサーECUがCANバスに送信すると、セントラルゲートウェイがイーサネットフレームに変換する。その情報をADAS用ECUが受け取って操舵(そうだ)角や加減速の制御量を算出、その結果をセントラルゲートウェイでCANフレームに変換してEPSやブレーキ、アクセルのECUに伝える。
2つ目のユースケースは不正なフレームが送信された場合のセキュリティだ。セントラルゲートウェイが異常なフレームを検出して不正アクセスとして破棄するとともに、セキュリティインシデントの発生を外部の監視センターへ通知する様子を紹介した。
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