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イメージセンサーによる生体センシングの可能性、血中酸素濃度や血糖値も視野ウェアラブルニュース

ジャパンディスプレイは2020年1月21日、東京都内で会見を開き、指紋や静脈、脈波を同時に計測できるイメージセンサーを東京大学と共同開発したと発表した。

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 ジャパンディスプレイは2020年1月21日、東京都内で会見を開き、指紋や静脈、脈波を同時に計測できるイメージセンサーを東京大学と共同開発したと発表した。有機ELディスプレイに用いる高移動度の低温ポリシリコン薄膜トランジスタをセンサー向けに応用するとともに、高感度な有機光検出器を用いることにより、脈波の分布計測に必要な高速読み出しと、指紋や静脈の撮像に必要な高解像度化を両立した。

 まずはセキュリティ向けの生体認証システムでの採用を見込んでおり、早ければ3年以内の量産を目指す。スマートフォンの生体認証機能向けへの搭載も目指す。また、バイタルサインを日常的に記録するためのウェアラブル機器での需要も見込む。今後はイメージセンサーで検出できる生体情報のバリエーションを増やしながら、医療機器として使用できる精度の開発も進める。

セキュリティ向け生体認証のデモ(左)。手首で静脈や脈波をセンシングする様子(右)(クリックして拡大)

ヘルスケアでの拡大狙う

 開発したイメージセンサーは厚さが15μm、面積が1.26×1.28cm2で、手首の周囲など曲面に合わせて曲げて使用することができる。解像度は508dpi、読み出し速度は41fps。性能の決め手となったのは、低温ポリシリコン薄膜トランジスタと有機光検出器を低損傷プロセスで集積化することだ。また、低温ポリシリコン薄膜トランジスタの採用によって消費電力を低減する。


2つのイメージセンサーを使い、指紋と脈波、静脈を計測する(クリックして拡大)

 製品化はセキュリティ向けが先行しそうだという。指紋と指先の汗腺、静脈の形状や交点といった複数の生体情報と、生きた人間の指であることを示す脈波を組み合わせることで、画像や模型などによるなりすましや模倣を防いで認証システムの安全性を高められる。

 生体認証の仕組みは、今後ヘルスケア向けウェアラブル機器でもニーズが高まると見込む。米国では、ウェアラブル機器によるバイタルサインの記録を生命保険で活用しようとする動きがあり、本人確認と生体情報のセンシングを両立できることが強みとなるという。現時点でも、1つのイメージセンサーで脈波と静脈のデータを同時に取得できる。今後、静脈の画像による血中酸素濃度の算出や、脈波による血糖値の測定など、ヘルスケア用途をにらんだイメージセンサーによるセンシング技術の開発を強化していく。


写真上がイメージセンサー。下は手首での計測用にLEDやルーバーを取り付けたモジュール(クリックして拡大)

 例えば、ヘモグロビンの種類によって光の透過率が異なるという性質を生かすと、酸化ヘモグロビンの量を算出することで血中酸素濃度を推定することができるという。イメージセンサーによる脈波の情報から血糖値を推定することも可能だとしている。ウェアラブル機器の機能として製品化すれば、空腹時以外も含めて血糖値を連続して記録できる。

 また、イメージセンサーは、1点で測定する既存の脈波センサーと比べて、面での測定が利点となり、運動中などで測定位置が動いても安定して脈波が測定可能だという。

 会見に合わせて、2種類のプロトタイプを披露した。1つは、2つのイメージセンサーを使い、指紋と脈波、静脈を 全て計測するモジュールだ。イメージセンサーは指紋用でルーバーのないものと、ルーバーと組み合わせて静脈と脈波を検知するものに分けている。もう1つのプロトタイプは、腕時計型のウェアラブル機器を想定し、手首で静脈と脈波を測定するものだ。LED光源を一体化してシートに収めるなど、小型化を進める。

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