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日本HP、成長を担う新たな中核事業の1つとして3Dプリンティング事業に積極投資3Dプリンタニュース

日本HPは、報道関係者向けに事業説明会を開催し、2019年のハイライトと今後の事業戦略について発表。新たな成長のキーとなる中核事業として、商業・産業印刷のデジタル化と、3Dプリンタによる製造業の変革を挙げる。

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 日本HPは2020年1月21日、報道関係者向けに事業説明会を開催し、2019年のハイライトと今後の事業戦略について発表した。

日本HP 代表取締役 社長執行役員の岡隆史氏
日本HP 代表取締役 社長執行役員の岡隆史氏[クリックで拡大]

 同社 代表取締役 社長執行役員の岡隆史氏は、HPの2019年の業績について「グローバルでの売上は6兆4000億円、利益は4700億円と事業全体として堅調に推移している。中でもPC事業は非常に好調であったが、成長率としては2%にとどまった。ペーパレス化など、プリンタ事業に対するいくつかのマイナス要因が影響した」と語る。

 2019年は、好調なPC事業での商品展開やセキュリティ事業にも注力。さらに、デジタル印刷におけるワークフローの自動化提案や、テキスタイル市場への参入を果たした。また、3Dプリンティング事業に関しては、試作・小ロット生産に対応する「HP Jet Fusion 4200シリーズ」に加え、2019年は機能性試作向けの「HP Jet Fusion 500シリーズ」と、大量生産向けの「HP Jet Fusion 5200シリーズ」を発表。「3Dプリンティング事業の国内での展開も3年目になるが、機能性試作、そして大量生産向けのモデルを発表したことで、上下に製品ラインアップを強化できた」(岡氏)。

2019年の業績2019年のハイライト 2019年の業績(左)とハイライト(右)[クリックで拡大]

 さらに2020年に向けての動きとして、“メガトレンドへの対応の加速”を掲げる。具体的には、いくつかのメガトレンドからキーワードを設定し、「持続可能性」「パーソナライズ&オンデマンド」「モビリティ&セキュリティ」「サービス化」「リアル/デジタル融合」の観点でビジネスを推進していくという。

 こうしたアプローチを踏まえた上で、同社は今後の成長を支える領域として、商業・産業印刷のデジタル化と、3Dプリンタによる製造業の変革を挙げる。岡氏は「おそらくPC、プリント領域の市場規模は今後も大きくは変わらないだろう」とし、セキュリティやAI(人工知能)、VR(仮想現実)、A3大判印刷対応などで成長維持を図りつつ、新たな中核事業として、商業・産業印刷と3Dプリンティング事業に対して「投資を集中させていく」(岡氏)と述べる。

将来に向けたHPの戦略について
将来に向けたHPの戦略について[クリックで拡大]

中核事業として地盤固めを目指す、HPの3Dプリンティング事業

 今後の成長のキーとなる中核事業の1つ、3Dプリンティング事業については、同社 3Dプリンティング事業部 事業部長の秋山仁氏が説明。まず、「HP Jet Fusionシリーズ」の好調さについて、秋山氏は「世界中でHP Jet Fusionシリーズを活用したデジタルマニュファクチャリングの取り組みが加速している。2019年度、1800万以上ものパーツがHP Jet Fusionシリーズで製造された。第三者機関の調査でも、HP Jet Fusionシリーズが最も使用された産業用3Dプリンタとして認定されている。その裏付けとして、国内外で樹脂材料の注文を多くいただいている状況だ」と語る。

日本HP 3Dプリンティング事業部 事業部長の秋山仁氏
日本HP 3Dプリンティング事業部 事業部長の秋山仁氏[クリックで拡大]

 HP Jet Fusionシリーズの活用領域としては、現在、自動車、医療・歯科、フットウェアの3つを注力市場として掲げており、製品/サービスや新たなビジネスモデルの開発を支援しているという。そうした活動を下支えしているのが、スペイン・バルセロナにあるHPの3Dプリンティング開発拠点だ。数百人規模の3Dプリンタ専任エンジニアが新規装置や材料、あるいはファームウェア開発に従事しており、「日々新しい技術の開発に努めている」(秋山氏)。

 また、製品展開については、前述の通り、2019年に機能性試作向けのHP Jet Fusion 500シリーズ、大量生産向けのHP Jet Fusion 5200シリーズを発表。設計試作から大量生産までをカバーし、製造プロセスの変革を支援する。「これまではサービスビューローでの採用が中心だったが、ラインアップの拡充により、自動車や電機メーカーといった製造業領域での採用が広がっている。出荷台数も非常に好調だ」と秋山氏は手応えを見せる。

HP Jet Fusionシリーズのラインアップ
HP Jet Fusionシリーズのラインアップ[クリックで拡大]

 そして、2020年度の3Dプリンティング事業の販売戦略については、国内製造業のデジタルマニュファクチャリングのさらなる推進を目的に、「サービスビューロー各社との取り組み強化」「アライアンスパートナーとの共同提案の推進」「DfAM(最適設計)の認知拡大」の3つのアプローチを強化していくことを目標に掲げ、HP Jet Fusionシリーズの国内展開をさらに進め、中核事業としての地盤固めを目指す方向性を打ち出す。

「HP Metal Jet」の開発状況は?

 なお、事業説明会の中では、金属3Dプリンタ「HP Metal Jet」への取り組み状況についてスライドを用いた説明はなかったが、「製品化に向けた開発を進めていることに変わりはない。引き続きソリューションパートナーであるGKN Powder MetallurgyとParmatechの2社、そしてβユーザーとともに、検証や装置の調整などに取り組んでいるところだ。現段階では、国内での導入タイミングなどは明確になっていない。最近の成果としては、『formnext 2019』の開催に併せてフォルクスワーゲンのプロモーションを支援し、HP Metal Jetで1万台以上のミニカーを一気に造形するというプロジェクトを成功させた」(秋山氏)という。

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