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JVCケンウッドが痛感した3Dプリンタの量産活用における難しさと解決への筋道HP デジタルマニュファクチャリング サミット(1/3 ページ)

日本HP主催「HP デジタルマニュファクチャリング サミット 〜3Dプリンターによる、ものづくりのデジタル革新〜」において、JVCケンウッドは「JVCケンウッドが推進するデジタルマニュファクチャリングの取り組み」をテーマに講演を行った。

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 日本HP主催「HP デジタルマニュファクチャリング サミット 〜3Dプリンターによる、ものづくりのデジタル革新〜」(会期:2019年10月25日)において、JVCケンウッドは「JVCケンウッドが推進するデジタルマニュファクチャリングの取り組み」をテーマに講演を行った。

 登壇したのは、JVCケンウッド SCM部 スマートファクトリー推進グループの久家浩志氏。久家氏は、JVCケンウッド社内における3Dプリンタの量産活用を推進する立場から、これまでの取り組み内容とそこから学んだことについて詳しく紹介した。

3Dプリンタを業務に適用する目的

 そもそも3Dプリンタを業務に適用する目的はどこにあるのかについて、久家氏は(1)プロトタイピング支援、(2)少量多品種対応/原価低減、(3)新しい価値の創造の3つを挙げる。このうち、本講演では(2)少量多品種対応/原価低減を中心に触れ、“3Dプリンタダイレクト出力パーツの量産およびサービスパーツへの活用”に関する具体的な取り組み内容について取り上げた。

3Dプリンタを業務に適用する目的について
3Dプリンタを業務に適用する目的について 出典:JVCケンウッド[クリックで拡大]

 JVCケンウッドが本格的に3Dプリンタ導入を開始したのは2010年のこと。まず、インクジェット方式の業務用3Dプリンタ(1号機)を導入し、2014年には1号機とは異なる特長を備えた同方式の業務用3Dプリンタ(2号機)を増設。そして、2017年に入ってから1号機をリプレイス(3号機を導入)し、同時期に実験用として低価格のFDM(熱溶解積層)方式3Dプリンタを2台購入したという。「2016年ごろになると、他部門、工場、関連会社などでも3Dプリンタの導入検討が始まり、先行者の立場から機種選定に関するアドバイスなども行うようになった」(久家氏)。

JVCケンウッドにおける3Dプリンタ導入の歴史
JVCケンウッドにおける3Dプリンタ導入の歴史 出典:JVCケンウッド[クリックで拡大]

 導入当初、3Dプリンタの適用は限られたものに絞り、試作検討をメインに適用を進めていった。そして、2012年以降、全社から3Dプリンタを用いた試作造形の依頼を請け負う体制を整備していった。「最初は電話やメールで造形依頼を受け付けていたが、2013年の3Dプリンタブームを皮切りに、造形依頼が急増。電話やメールではとても対応し切れなくなったため、『全社造形依頼システム』を新たに構築し、このシステムで社内の造形依頼を受け付けるようにした」と久家氏は説明する。

3Dプリンタ導入後の社内での活動について
3Dプリンタ導入後の社内での活動について 出典:JVCケンウッド[クリックで拡大]

前倒しで取り組んだ、3Dプリンタの量産活用の検討

 また、この3Dプリンタブームの到来がきっかけとなり、「当初、3Dプリンタの量産活用は時期尚早と考え、試作での活用を中心に検討していたが、ブームを境に量産も含めた、試作以外の活用に舵を切ることとなった」と久家氏。その際、JVCケンウッドの社内では、競合を含めた業界全体で3Dプリンタを活用した量産検討が加速していくのではないか? という危機感とともに、社内での3Dプリンタへの関心が一気に高まっていったという。「流れに置いていかれたらおしまいだと考え、時期尚早という意見もあったが、3Dプリンタの量産活用の検討を前倒して始めることにした。また、同時に社内での試作依頼が倍増。3Dプリンタブームが社内でも大きく影響した」と久家氏は振り返る。

3Dプリンタブームがもたらしたもの
3Dプリンタブームがもたらしたもの 出典:JVCケンウッド[クリックで拡大]

 では具体的に、試作以外の検討ではどのようなものを3Dプリンタで製造したのか。その1つが、産業用ロボットのハンドツールと治具である。「特にハンドツールの把持機構の設計は、一般的にトライ&エラーの繰り返しが付き物で、従来非常に手間がかかっていたが、3Dプリンタを活用することにより短期間で製作可能となった。最近はこうしたロボットシステムを短期間で構築するケースも増えてきている」(久家氏)。

試作以外の検討強度が必要な部分にはFDMを活用 試作以外の検討の1つ、産業用ロボットへの適用 出典:JVCケンウッド[クリックで拡大]

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