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苦節8年、ラベル印刷市場で勝負をかけるOKIデータのカラーLEDラベルプリンタPro1050/Pro1040開発秘話(3/3 ページ)

ビジネスプリンタ市場に続く、次なる成長のステージとして、ラベル印刷市場向けにカラーLEDラベルプリンタ「Pro1050」「Pro1040」を投入したOKIデータ。同社はなぜ未知の領域であるラベル業界に進出するのか。その狙い、そして苦節8年を費やして完成させたPro1050/Pro1040の特長を製品担当者に聞いた。

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ほとんどが板金設計、小ロットのモノづくりを初めて経験

 Pro1050/Pro1040は産業用途向けということで、他にも従来のビジネスプリンタにはない特色を備えている。

 その1つがメンテナンス性の確保だ。生産現場での活用の他、印刷業者が装置として利用するため、ダウンタイムの最小化が不可欠となる。紙詰まりなどのささいなトラブルであってもすぐに問題を解決する必要がある。また、装置の故障が生じた場合も修理にかかる時間を最小限に抑えなければならない。

 そこで、Pro1050/Pro1040では主要な内部機構をモジュール化。エンドユーザー自身の手で、簡単に各モジュールを取り外し、問題箇所にアクセスできるよう工夫した。同時に、「ビジネスプリンタよりもハードな使われ方、連続稼働が基本であると想定し、長寿命化設計も施している」(村上氏)という。

ローラーユニットカッターユニット 定期交換部品である(左)ローラーユニットと(右)カッターユニット[クリックで拡大]
トナーユニット転写ベルトユニット定着機 消耗品である(左)トナーユニット、(中央)転写ベルトユニット、(右)定着機[クリックで拡大]

 外装が全て板金加工で作られている点も、従来のビジネスプリンタとは大きく異なるポイントだ。「使われる環境がオフィス内ではなく、現場となるため、従来の樹脂製ではなく、板金で堅牢(けんろう)に作る必要があった。ビジネスプリンタでも内部構造を板金で作ることはあったが、外装を含めほとんどを板金で設計するのは初めてのことだった」(村上氏)。

 実際の開発では、曲げや組み立てのシンプルさを重視。初期の試作段階から生産工場の担当者に協力を仰ぎ、組み立て性などを検証しながら設計を進めていったという。また、ラベルプリンタはビジネスプリンタほど出荷台数が多くないため、「コストを加味しながらの“小ロットでのモノづくりの感覚”を学ぶことができた」と村上氏は述べる。

外装内装 外装を含め、ほとんどが板金加工で作られている[クリックで拡大]

100点満点を出せないからこそ、多数のニーズから本質を見極める

 数々の苦難を乗り越え、晴れて2019年6月にPro1050/Pro1040の出荷を開始することができたが、試作段階の装置を展示会などに出品していた当時は、業界関係者の方々からかなり厳しい意見をもらっていたそうだ。

 そうした中、諦めることなくラベル・シール印刷の現場などに足しげく通い、マーケティング活動を続けていった。さらに、OKIデータとして初めて、発売前の製品の試作機をユーザーに貸し出し、そのフィードバックを製品開発に役立てる取り組みにも挑戦した。すると、世の中のデジタル化への波が加速するに従い、Pro1050/Pro1040への関心も高まり、次第に評価されるようになってきたという。

 「ラベル印刷は当社にとって未知の領域でもあったので、ラベル媒体、印刷業者の門をたたき、ご指導いただきながら方向性を見定めていった。ただ、ラベル印刷の世界は媒体の数も無数にあるため、どうしても100点満点のものをいきなり作り上げることはできない。だからこそ、ニーズを拾い集めて本当に必要なものは何か? にこだわって開発を進めてきた。そのおかげもあって、Pro1050/Pro1040の完成を迎えることができた。出荷開始後の滑り出しは好調だ」と福島氏は手応えを見せる。

写真左からOKIデータ インダストリー事業本部 スペシャルティプリント事業部 部長の福島浩之氏、同 シニアスペシャリストの村上龍也氏
写真左からOKIデータ インダストリー事業本部 スペシャルティプリント事業部 部長の福島浩之氏、同 シニアスペシャリストの村上龍也氏

 また、既にPro1050/Pro1040のユーザーから改善や次期製品に対する期待の声も上げられており、次のステップに向けたアプローチを整理しているところだという。「印刷品質のさらなる向上と、対応媒体の拡充といった部分は日々のテーマとして捉えつつ、まずは市場投入したばかりのPro1050/Pro1040の強化、改善に取り組んでいきたい。将来的にはパートナーシップなども視野に入れながら、ソフトウェア面の強化、ラベル印刷の前後の加工工程まで見据えた改良も検討できればと思う」(村上氏)。

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