カシオの2.5Dプリンタで触感を伴う試作品を手軽に製作:メカ設計と試作(1/2 ページ)
カシオ計算機は「CEATEC JAPAN 2017」で、紙上に微妙な凹凸を施した印刷ができる2.5Dプリントシステム「Mofrel(モフレル)」を展示する。現在はユーザー企業に機器を貸し出ししながら評価と改善を実施しており、2018年2月発売を目標に開発を進めている。
カシオ計算機(以下、カシオ)は「CEATEC JAPAN 2017」(会期は2017年10月3〜6日、会場は千葉市の幕張メッセ)に出展し、同社が開発した2.5Dプリントシステム「Mofrel(モフレル)」を展示する。同製品は「3D」ではなく「2.5D」で、紙上に微妙な凹凸を施した印刷ができる装置で、触感を伴った印刷物が作成できる。名称は「(○○に)も触れる」が由来。製造業における試作やプロダクトデザインなどを用途として狙う。
写真左から、カシオ計算機 デジタル絵画事業部 設計・技術室 室長 丸山政俊氏、同 第二開発室 室長 黒澤諭氏、同 第一開発室 リーダー 堀内雄史氏。中央に2.5Dプリントシステム「Mofrel(モフレル)」。
Mofrelは現在、自動車関連などの企業に実機を提供してβ評価を実施中で、そこでリクエストを収集して改善しながら2018年2月発売を目標に開発を進めている。販売想定価格は500万円。
印刷は大きく、グレー印刷の工程(インクジェット印刷)、さらに隆起を施す工程(赤外線照射)、カラー印刷(インクジェット印刷)の工程の3つに分かれる。ユーザーは液晶画面に出てくるガイダンスに従って作業すればよい。1枚のA4用紙が経る3工程は5分程度で完了し、難しい作業も特にない。
専用紙(シート)をインクジェット印刷のトレーに挿入するとまずグレースケール画像が印刷される。次に、グレー印刷された紙を別の赤外線照射用のトレーに挿入すると、内部で近赤外線が照射されることでその濃淡に応じて隆起の高さが変化する。隆起を施した紙の保護シートをはがしたら、またインクジェット印刷のトレーに挿入し、カラー印刷を行う。
従来の2.5Dプリンタとの相違点は「積層プロセスではない」ことであり、印刷スピード面で有利だという。また従来の「立体コピー」と呼ばれる技術は「凸になるか・ならないか」でしか隆起が制御できなかった。Mofrelは専用紙に近赤外線を照射すると、塗布してある熱膨張性マイクロカプセルが発泡して隆起するという同社独自の技術を採用している。近赤外線は色が濃いほど多く吸収されるため、黒に近い印刷部ほど高く隆起する。グラデーションの通りに隆起が表現され、高さは最大で1.7mmまでになる(専用紙の素材による)。
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