複雑な作業を自動化する、協働ロボット内蔵型の画像処理ソフトウェア:FAニュース
キヤノンは、デンソーウェーブの協働ロボット「COBOTTA」に内蔵できる画像処理ソフトウェア「Vision Edition-C」を発表した。産業用カメラなどと組み合わせることで、これまで人手が必要だったピッキングや高度な点検作業を自動化する。
キヤノンは2019年12月12日、デンソーウェーブの協働ロボット「COBOTTA」にインストールできる画像処理ソフトウェア「Vision Edition-C」を発表した。高度な画像処理技術により、COBOTTAの活用の幅を広げる。同月下旬に発売する。
COBOTTAは、持ち運び可能で、すぐに作業を自動化できる小型協働ロボット。同ロボット専用のVision Edition-Cは、ネットワークカメラや産業用カメラなどと組み合わせることで、ロボットの「眼」となる。ソフトウェア制御用の産業用PCがなくても、ロボット本体にインストールして使用できるため、生産現場での自動化を進めやすくなる。
Vision Edition-Cは、登録したモデルと同じものを見つけてその位置を検出するパターンマッチング機能、ロボット作業の抜けや漏れを発見、防止する検査、点検機能などを備える。
例えば、対象物にシールを貼るピック&プレース作業では、対象物を置く位置がずれた場合でも、位置を補正して適切な場所にシールを貼り付ける。貼り付け後にシール位置を検査することもできる。
また、さまざまな形状の部品を判別して種類別に正しく配置する形状マッチング機能や、計測器のデジタル数値から重量を確認する数字の読み取り機能などを搭載する。
これまで、ピック&プレースの配列ミスの確認や不良品の確認には人手が必要だったが、Vision Edition-Cはこれらの作業を画像処理で自動認識し、誤りがあった場合は警告を出すなど、作業の効率化とミスの防止に貢献する。
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