AIとIoTで生産性を従来比35%向上、形彫放電加工機の新シリーズ:FAニュース
三菱電機は、AIによる新適応制御技術を搭載した形彫放電加工機「SG8」「SG12」を発売した。リアルタイムで加工状態を把握し、状態に合わせて自動で制御を切り替えるため、生産性を従来機比で最大35%向上する。
三菱電機は2019年12月5日、AI(人工知能)による新適応制御技術を搭載した形彫放電加工機「SG8」「SG12」を発売した。価格は、SG8が1380万円、SG12が1550万円(いずれも税別)。それぞれ、2020年度の販売目標を175台、100台としている。
SG8、SG12は、同社のAI技術「Maisart(マイサート)」を活用した新適応制御技術を搭載する。加工状態をリアルタイムで把握し、状態に合わせて自動で制御を切り替えるため、生産性を従来機比で最大35%向上する。
さらに、加工時間見積もり機能により、加工時間を自動で算出し、工程の前後で発生する段取り時間を削減する。
ヘッド部分の鋳物の形状や剛性を改良するなど機械構造の見直しや、高精度ボールネジの採用により、微細部品から大型の自動車部品まで多様な加工に対応する。また、高速加工用ジャンプ制御が従来機比で2.5倍になっており、加工が難しい穴や溝部分の加工時間を短縮する。
両加工機は、遠隔での運用や保守も可能だ。IoT(モノのインターネット)を活用したサービス「iQ Care Remote4U」に対応し、加工状態を可視化したり、稼働状況を遠隔監視したりできる。通信プロトコル「MT Connect」にも対応可能で、クラウド環境が使えないユーザーには、「iQ Care Remote4U Edgecross版(イントラネット版)」を用意する。
機械寸法およびテーブル寸法は、SG8が1530×2000×2140mm、500×350mm、SG12が1725×2130×2420mm、700×500mm。工作物の許容質量はSG8が550kg、SG12が1000kgとなっている。
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