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ロボットシステムで広がるオープン化、デンソーウェーブがベッコフを選んだ理由2019国際ロボット展(2/2 ページ)

デンソーウェーブとドイツのBeckhoff Automation(以下、ベッコフ)は2019年12月18日、「2019国際ロボット展(iREX2019)」(2019年12月18日〜21日、東京ビッグサイト)の会場で、新たに発表したファームウェアで提供可能な新コンセプトロボットコントローラー「RC9」の狙いについて発表を行った。

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現状との互換性問題への解決策も用意

 デンソーウェーブでは、この「RC9」を2020年7月に発売予定の新型産業用ロボット「VMシリーズ」「VLシリーズ」から採用し、その後の産業用ロボットについては基本的に「RC9」対応としていく方針だとしている。

 そうなると従来のロボットおよびロボットコントローラーとの互換性への懸念も生じるが、これらを解消するため「RC9」は、ロボットコントローラーの従来機である「RC8」のコントロールを行える機能を備えている。実際にiREX2019のデンソーウェーブブースでは、「RC9」で「RC8」3台を制御するデモなども披露しており、従来のロボットコントローラーをリプレースする必要がないことを示した。

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会場で紹介されたRC9を活用した生産ラインデモの構成図。RC9ファームウェアを搭載したIPCにより、1台のロボットと3台のロボットコントローラーを制御している(クリックで拡大)出典:デンソーウェーブ

 さらに日本国内で数多く普及している産業用ネットワークである「CC-Link」にも対応できるようにするため、ELターミナルに「CC-Link Slave」を追加し、CC-Linkネットワークに接続し、ロボットを連携させることなども可能としている。

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ベッコフの産業用PCは開発元であるためEtherCATとの親和性が高いが、日本では数多く使われているCC-Linkネットワークへの接続を確保するため、ELターミナルに「CC-Link Slave」を追加し、互換性を確保する(クリックで拡大)出典:ベッコフオートメーション

協調領域は外の力を活用し、ロボットとしての競争領域に集中

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iREX2019のRC9統合デモラインの様子。赤丸部の制御ボックスにRC9ファームウェアが搭載されたベッコフ製産業用PCが収納されている。RC9により、手前の大型ロボットと、奥のラインのロボット3台を制御している(クリックで拡大)

 今回の協業により、従来はデンソーウェーブがハードウェアからソフトウェアまで一体開発してきたロボットコントローラーにおいて、一部をベッコフオートメーションの技術基盤にゆだねる形となるが、その点における懸念はないのだろうか。

 神谷氏は「デンソーウェーブではもともとORiN(※)を含めてオープン性を意識したロボットの展開を進めてきたが、今後ますますロボットの使用領域が広がる中で、機能的にもビジョンとの連携やAI(人工知能)の活用など、さまざまな技術を取り入れていかなければならない。さらに普及拡大を進める中で他のシステムとの連携は欠かせないものとなる。こうした他との連携性や拡張性を考えた時にはPCベースにしていくということは欠かせないものになると考えた」と今回の決断について語っている。

(※)関連記事:いまさら聞けない ORiN入門

 さらに、澤田氏は「ロボットの開発において、リアルタイム性の確保は必須の条件ではあるが、それそのものは競争優位性をもたらすものではない。リアルタイム制御を行うハードウェアの基盤までは協調領域という認識で、多くの実績を持ち、今後の発展性なども期待できるベッコフオートメーションの基盤を採用することに決めた。ロボットメーカーとしての競争領域はこの先にあり、確保されたリアルタイム性の上で、ロボットをどのように動かすか、どのように精度や速度を高めていくのか、品質などを作り込み、用途をどのように開拓していくのかなど、差別化につながる領域は数多く存在する。今回の協業により、こうした差別化領域にリソースを集中させることができる」と協業の意義について語っている。

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