産業用ロボットをオープンに、PCでソフトウェア駆動する新コントローラーが登場:2019国際ロボット展
デンソーウェーブとベッコフオートメーションは2019年12月13日、ファームウェアで提供可能な新コンセプトのロボットコントローラー「RC9(アールシーナイン)」を開発したと発表した。
デンソーウェーブとベッコフオートメーションは2019年12月13日、ファームウェアとして提供可能な新コンセプトのロボットコントローラー「RC9(アールシーナイン)」を開発したと発表した。
ロボット活用の場面が多様化する中、ロボットを含む産業用機器にもよりオープンでシンプルな開発環境や機器設定のニーズが高まってきている。しかし、ロボットコントローラーについては、リアルタイム性の確保という点で、設備内のPLCや複数ロボットの制御において、それぞれがコントローラーを必要とするクローズ型のシステム構成を取らざるを得ない状況が続いていた。
新製品「RC9」はこれらの「クローズ型の環境」を打破し、よりオープンでシンプルなロボットの活用環境の実現を目指したものだ。これまでハードウェアで提供されていたロボットコントローラーの概念を見直し、ファームウェアでも提供できる新コンセプトのロボットコントローラーとして開発した。
具体的には、産業用PC(IPC)にインストールするファームウェアとして開発しベッコフオートメーション製のIPCおよびPCベース制御技術である「TwinCAT」と組み合わせて提供することで、高いリアルタイム性能を確保する。さらに、オープン性とロボットシステムの拡張性を持ち、設備のマスターコントローラーとして開発環境の統合を実現できる。
さらに、従来はハードウェアと制御機能を組み合わせて開発せざるを得なかったが、ソフトウェアによるロボット制御と、ハードウェアを切り離して提供可能としたことで、アプリケーションごとに最適な仕様のIPCが選択可能となる。そのためより幅広いニーズに応えられるようになるという。
「RC9」は、デンソーウェーブの新型産業用ロボット「VMシリーズ」「VLシリーズ」から採用され、今後デンソーウェーブで発売されるロボット製品に順次搭載していく予定だ。また、2019年12月18日から東京ビッグサイトで開催される「2019国際ロボット展」で初出展するとしている。
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