高度な熱解析を効率化する解析ソフトウェア:CAEニュース
日本アビオニクスは、高機能の収録・解析ソフトウェア「ATS-R」を発表した。赤外線サーモグラフィーカメラの熱画像動画を収録し、ファイル編集や高度な熱解析、報告書作成までをトータルでサポートする研究用途向けのソフトウェアだ。
日本アビオニクスは2019年12月2日、熱解析を効率化する、高機能の収録・解析ソフトウェア「ATS-R」を発表した。同月末に発売する。研究用途向けで、赤外線サーモグラフィーカメラ「R550」「R450」シリーズの熱画像動画を収録し、ファイル編集や高度な熱解析を効率的に実行できる。
豊富なトリガと収録機能を備え、PCへの自動収録は、外部信号入力、温度、時間、画面ボタンなどのトリガによって開始する。また、「プリトリガ」機能では、トリガが入った直前の温度を記録し、「ステップ収録」機能では複数の測定条件を組み合わせて、対象物の状態に応じて収録速度を変更できる。1ファイルの収録容量を任意で設定し、長時間の計測や高速サンプリングで大容量になるデータを分割しながらの収録も可能だ。
微小な温度変化の抽出に有効な差分処理にも対応。基準熱画像に対して温度差を計算し、差分画像を表示するほか、動画データをリアルタイムで差分表示できる。過負荷試験での温度変化箇所は、時系列で表示・解析できる。
また、測定条件の異なるデータや過去データなどを同時に表示して(最大4枚)、効率よく比較解析できる。撮影情報をソフトウェアに入力すれば、熱画像上で長さや面積を計算できる。歪みを補正する機能や、熱画像を鮮明に表示するフィルター機能も備える。
報告書の作成も容易になる。Word形式のテンプレートから作成でき、CSV出力、Excel出力、ASCII変換、exeエクスポートに対応。ソフトウェアがインストールされていないPCでも、保存データを開いて解析できる。また、大容量データから必要なデータのみを抜き出す「間引き」「分割」により、効率よくファイルを管理したり、複数のデータを結合し、AVIに1ファイルとして出力したりできる。3D表示により、画像の回転や3次元での温度勾配の把握も可能だ。
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