時速50kmで計測車両を走らせて鉄道やトンネルの点検業務を高度化する三菱電機の「MMSD」:第6回鉄道技術展2019
三菱電機は「第6回鉄道技術展2019」に出展し、三菱インフラモニタリングシステム「MMSD(Mitsubishi Mobile Monitoring System for Diagnosis)」と、MMSDを活用した鉄道無線解析ソリューション(電波見える化)に関する展示を行っていた。
三菱電機は「第6回鉄道技術展2019」(会期:2019年11月27〜29日、幕張メッセ)に出展し、「Ready to depart for the future. 三菱電機は、鉄道の未来をつくる準備ができている。」をテーマに、次世代輸送システムの実現を支える先端技術の数々を、「鉄道LMS(Lifecycle Management Solution)エリア」「構成技術エリア」「三菱電機が描く将来像エリア」の3つに分けて紹介した。
そのうち、構成技術エリアでは、三菱インフラモニタリングシステム「MMSD(Mitsubishi Mobile Monitoring System for Diagnosis)」と、MMSDを活用した鉄道無線解析ソリューション(電波見える化)に関する展示を行っていた。
鉄道やトンネルの計測、解析、報告を自動化する「MMSD」
MMSDとは、高密度3次元レーザー(2台)と8Kラインカメラ(14台)を搭載した計測車両「MMSD II」を用いて、時速50kmで道路や線路を走行しながら高精細画像(0.25mm/ピクセル)を撮影し、同時にレーザーで3次元点群データ(毎秒200万点相当)を収集するもので、計測、解析、報告を自動化することにより、社会インフラ点検や設備計測の省力化、高度化に貢献する。
収集された3次元点群データや高精細画像データは、同社独自開発の点群解析アルゴリズム/画像解析アルゴリズムにより処理され、ひび割れなどの劣化や漏水といった変状を目視と同等レベルで把握できるという。「作業員が時間をかけて目視などで点検するよりもはるかに効率的で、人手不足の問題解消にも役立てられる」(説明員)。
鉄道沿線の解析では、3次元点群データを基に、建築限界への樹木や構造物などの侵入を自動検出(建築限界解析)したり、トンネル内の変状解析では、耐久性に影響があるとされる幅0.3mm以上のひび割れを検出したり、3次元点群データと高精細画像を照らし合わせることで、ひび割れに起因する浮きや剥離(はくり)などを抽出したり、経年劣化を確認したりすることが可能だ。ちなみに、点群の位置座標はGPSとIMU(慣性計測ユニット)により取得しているという。
MMSDでは、こうした解析結果のデジタルデータを基に、建築限界台帳や変状抽出結果の展開図、トンネル形状展開図などの報告書(レポート)を自動生成し、報告業務の支援も行ってくれる。
現在、同社ではMMSD IIとPHEV(プラグインハイブリッド車)ベースの初号計測車両「MMSD I」の2台体制でサービスを展開。全国の鉄道やトンネル点検などで活用されているそうだ。
MMSDで取得した3次元点群データを活用し、電波を見える化
その隣の展示スペースでは、MMSDを活用した鉄道無線解析ソリューション(電波見える化)について紹介していた。
これは、従来困難だったトンネルや高架などの無線シミュレーションを、MMSDで計測した3次元点群データを用いて実現するものだ。「市販の地図データや建物データ、そしてMMSDで計測した3次元点群データから生成した3Dモデルを組み合わせて鉄道沿線を再現。その上で無線シミュレーションを実行することで、高精度な無線環境の見える化を実現し、適切な鉄道無線の設計および配置、保守業務に貢献する」(説明員)。
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