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過ごし方自由な自動運転車、エアバッグはさまざまな姿勢の乗員をどう守るか東京モーターショー2019

自動運転中に乗員が自由にさまざまな姿勢をとることに対応した技術開発が進んでいる。自動運転技術が高度化して常時の周辺監視が不要になると、ドライバーは従来のような姿勢でシートに座る必要がなくなる。その結果、これまでと同じ形の安全装備では万が一のときに乗員を保護しきれなくなることが考えられる。サプライヤーは、車内での過ごし方が変わる自動運転車に向けた乗員保護システムの開発を進めている。

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 自動運転中に乗員が自由にさまざまな姿勢をとることに対応した技術開発が進んでいる。自動運転技術が高度化して常時の周辺監視が不要になると、ドライバーは従来のような姿勢でシートに座る必要がなくなる。その結果、これまでと同じ形の安全装備では万が一のときに乗員を保護しきれなくなることが考えられる。サプライヤーは、車内での過ごし方が変わる自動運転車に向けた乗員保護システムの開発を進めている。

シートベルトからエアバッグが展開

 豊田合成はシートベルトやシートに内蔵するエアバッグの開発を進めている。レベル3以上の自動運転システムが作動している間は、ステアリングが収納されたり、シートの向きを変えて後部座席と対面しながら座ったりする可能性があり、従来の搭載位置のエアバッグでは乗員保護に不十分となることを想定している。そこで、シートやシートベルトにエアバッグを収め、シートアレンジに関係なく乗員を保護できるようにする。

 1つは車両側面からの衝撃に対して腰から頭部までを保護するサイドエアバッグで、シートの両側面に搭載する。乗員同士の衝突も防ぐ。もう1つは膝の上から胸まで展開し、前方からの強い衝撃から頭部を保護するタイプだ。このタイプはシートベルト内にバッグを畳んで収納するが、量産に向けてはシートベルトとして巻き取れることが求められる。そのため、バッグの薄さと展開に耐える強度の確保の両立、インフレーターの高出力化などに取り組むとしている。2025年ごろの製品化を目指す。

次世代エアバッグのコンセプト(左)。シートベルトの内部からバッグが展開している(右)(クリックして拡大)

乗員センシングと前方監視センサーが連携

 コンチネンタル・オートモーティブは、画像認識技術を使った乗員の姿勢のセンシングと、衝突安全システムの動作をつかさどるセーフティドメインコントロールユニットを開発中だ。車内では可視光カメラと赤外線カメラ、レーダー、シート位置のセンサーなどのデータを統合処理し、乗員一人一人の姿勢からエアバッグに近すぎたり遠すぎたりしないかを個別に検出する。車両の周辺を監視するセンサーが衝突の可能性が高いと判断すると、背もたれを倒しているシートを起こすなどして衝突に備え、それぞれの姿勢に最適な形でエアバッグを作動させる。

 セーフティドメインコントロールユニットは、車内外のセンサーの情報を取りまとめ、衝突前の段階でさまざまな体勢の乗員を保護できるよう制御する。また、衝撃があった方向やロールやピッチの検出、イベントデータレコーダーとしての記録といった基本的な機能に加えて、並列処理のためのGPUや1万DMIPS以上の処理性能、高速なFlexRayやイーサネットのインタフェースなども備える。

 コンチネンタルは、歩行者の上半身と下半身、左右の腕や顔の動きから、歩行者がどのように動こうとしているかを判断する画像認識技術の開発を進めている。どの方向に歩こうとしているか、車両の存在に気付いて立ち止まっている、クルマを停車させようと両腕を広げている、片手をあげている、歩きスマホをしている、といった動作を識別することができる。この技術を乗員のモニタリングにも活用する。

乗員の姿勢をセンシングする様子(左)。セーフティドメインコントロールユニット(右)(クリックして拡大)

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