高度な制御技術とシミュレーションで大規模プラントの操業を最適化:FAニュース
横河電機は、操業最適化支援ソリューション「Dynamic Real Time Optimizer」の提供を開始した。高度な制御技術とシミュレーション技術によって算出した最適値を制御システムに反映させることで、大規模プラントの最適制御を支援する。
横河電機は2019年10月11日、操業最適化支援ソリューション「Dynamic Real Time Optimizer(ダイナミック・リアルタイム・オプティマイザ―)」の提供を開始した。
高度制御に必要な最適値を高精度に算出するソリューションで、横河電機の制御技術と、イギリスの子会社KBCアドバンストテクノロジーズ(KBC)が持つ業界の知識やシミュレーション技術を活用して開発した。刻々と変わる原油市場や製品市況に迅速に対応しながら操業できるため、プラントの生産性を向上し、利益を最大化する。
開発時には、機能強化によりオンラインで活用可能になった、KBCのプロセスシミュレーションプラットフォーム「Petro-SIM(ペトロ-シム)」を基にした。制御システムやプラント情報管理システムとオンライン接続してデータを取り込み、厳密モデルを用いたシミュレーションで事例研究することによりモデルを構築。このモデルと運転条件から数理計画法にて算出した最適解を、高度制御システムに反映させる。
Dynamic Real Time Optimizerを動作させるプラットフォームには、横河電機の高度制御ソフトウェア「Platform for Advanced Control and Estimation」を使用する。同ソフトウェアは高速の演算処理が可能で、装置から装置にわたる大規模なアプリケーションを構築して一括制御するため、大規模プラントを最適に制御できる。さらに、KBCのシミュレーション技術により、非線形性を示すプロセスが多く見られる反応工程などにおいても、高い精度で最適値を算出できる。
Petro-SIMの厳密モデルを更新した場合、組み合わせている高度制御システムに手を加えなくても速やかに連携し、高度な制御を維持する。また、高度制御最適化支援システムと高度制御システムとのインタフェースを容易に構築できるため、最適操業を従来の高度制御ソフトウェアと同程度のメンテナンス工数で維持する。
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