27工場で1588デバイスを監視、ファナックがFIELD systemの成果を強調:CEATEC 2019(2/2 ページ)
ファナックは「CEATEC 2019」(2019年10月15〜18日、千葉県・幕張メッセ)に3年連続で出展し、同社が展開する製造現場向けのIoT基盤「FIELD system」を含む製造現場向けのデジタルソリューションを紹介。関連技術が出そろいつつあり、実質的な成果を生み出せる状況になってきたことを強調した。
FIELD systemの裾野を大きく拡大
これらの実証などを踏まえて、より裾野拡大を目指した取り組みの1つが、ミツイワとの協力で実現した「FIELD system」スタートアップパッケージの展開である。「FIELD system」スタートアップパッケージは、産業用ルーターやファイアウォール、スイッチなどの各種ネットワーク機器と製造現場で「FIELD system」を動作させる「FIELD BASE Pro」などをワンストップで提供。これらの構築や設定まで含めて一括で提供するというものである。三井住友ファイナンス&リース株式会社のリースを利用することで、サブスクリプション型の月額サービスで利用可能だという。同サービスを2019年4月からミツイワが提供しており、中小企業など自社での構築が大変だという製造業への導入を広げているという。
アプリケーションの開発環境なども整備
さらに、周辺環境の整備にも積極的に取り組む。新たにアプリ開発をより簡単に行えるようにした開発支援ツール「FIELD system Sutdio」を用意し、アプリの開発を促進する。開発したアプリはファナックが運営するマーケットプレース「FIELD system Store」で販売できる。
その他、効率的な企業間のデータ交換を可能とするためのデータ基盤として、富士通、NTTコミュニケーションズの3社で「デジタルユーティリティクラウド」を共同開発することを2019年9月に発表し、2020年4月からサービス提供を行うという(※)。「製造現場のデータは1社だけのデータでは意味がなく工場内のあらゆる機器から集めて活用できなければ意味がない。企業間のデータを安全に利用できるようにする基盤が必要だと感じていた。デジタルユーティリティクラウドは、ファナック自身が必要だと感じたために作った枠組みである。おそらくファナックが最初のユーザーになるだろう」(ブース説明員)。
(※)関連記事:工作機械業界共通のデジタル基盤構築へ、ファナック、富士通、NTT Comが共同開発
その他、「FIELD system」を生かしたアセット管理やメンテナンスサポートなど幅広い活用シーンを紹介。さまざまな領域で「実用段階」に入ってきたことを強調していた。
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