コマツが次期製品の開発でMBSEを実践、「プロダクトライン開発」との両輪で:モデルベース開発(4/4 ページ)
オージス総研主催のイベント「現場の悩みを解決するためのシステムモデリングの活かし方」に、小松製作所(コマツ) 開発本部 システム開発センタ メカトロ制御第3Gr.の北村顕一氏が登壇し、同社の次期製品の開発に取り入れているMBSE(モデルベースシステムズエンジニアリング)と「プロダクトライン開発」について紹介した。
「現場全体の最適化を考えられるシステム設計者を育成していく」
MBSEとプロダクトライン開発を連携させていくには「既存資産の調査」「既存資産の整理」「コア資産」の作成が必要になる。
「既存資産の調査」では、各機能のバリエーションを調査した上で、MBSEで用いるSysML要求図にバリエーション情報を追加する必要がある。どの機能にバリエーションがあるか、各バリエーションの上位要求は何か、バリエーションはどの構成要素(モノ)によって決まるかなどだ。ただし、各機種がどのバリエーションなのかをSysML要求図で表現するのは難しい。そこで、バリエーション管理に特化したツールを採用することとした。
「既存資産の整理」では、共通化が可能な機能のバリエーションの統合を行う。例えば、上位要求も構成要素も同じであればそのバリエーションは不要になる。「これはタテのつながりが見えるSysML要求図があるからこそ整理可能」(北村氏)だという。
「コア資産の作成」については、モデリングツールの「Enterprise Architect」やpure:variants、モデルベース開発ツールの「MATLAB/Simulink」、C言語やC++言語によるコーディングを組み合わせて実施することになる。
MBSEとプロダクトライン開発の採用は、増大するソフトウェアの開発規模への対応とともに、コマツが開発するシステムの対象を建機から現場に広げることを目的としている。「製品の最適化ではなく、現場全体の最適化を考えられるシステム設計者を育成するためのものだ」(北村氏)。
これらの開発プロセスは、次期製品の開発に向けた導入を始めているところだ。北村氏は「数値的な効果は次期製品の開発が本格化したころに見えてくるだろう。より良い商品をより早く提供できる仕組みであり、MBSEで設計全体の見える化を、プロダクトライン開発でコア資産による無駄削減を実現できる」と述べている。
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