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「MATLAB/Simulink」はなぜAI関連機能を拡充するのか、MBSEも視野に組み込み開発 インタビュー(1/2 ページ)

自動車をはじめとする制御システムの開発に携わる技術者にとって、MathWorksのモデルベース開発環境「MATLAB/Simulink」は、なくてはならないツールの1つになっている。創業から35周年を迎える同社が、近年最も力を入れているのがAI関連の機能拡充だ。

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MathWorksのリチャード・ロブナー氏
MathWorksのリチャード・ロブナー氏

 自動車をはじめとする制御システムの開発に携わる技術者にとって、MathWorks(マスワークス)のモデルベース開発環境「MATLAB/Simulink」は、なくてはならないツールの1つになっている。創業から35周年を迎える同社だが、近年最も力を入れているのがAI(人工知能)関連の機能拡充だ。

 2019年5月28日に開催された「MATLAB EXPO 2019」に合わせて来日した、MathWorks マーケティング担当副社長のリチャード・ロブナー(Richard Rovner)氏は「当社の製品は、エンジニアリングとサイエンスに関わる研究者や技術者に広く利用されている。カバーする産業分野も、自動車と航空宇宙をはじめ、ハイテク機器、通信、医療、バイオ、金融などさまざまだ。そしてAIは、多くの分野で採用検討が広がっている。だからこそ、当社もAI関連の機能拡充を重視してきた」と語る。

さまざまな産業分野でAIの採用検討が始まっている
さまざまな産業分野でAIの採用検討が始まっている(クリックで拡大) 出典:MathWorks

 ロブナー氏によれば、AIが本格的に採用されるには、自動車や航空宇宙などの分野で求められるセーフティクリティカルを満足する「Reliable and Verifiable」、消費電力が小さく量産可能な「Form Factor」、AIだけでなく他のアルゴリズムとも統合可能な「Integrated」、従来企業にとっても適用可能な進化が得られる「(R)evolutionary」、ITチームに開発が一元化されてない「Decentralized」という5つの特性が求められるという。

 制御システムの開発者にとってMATLAB/Simulinkは、現在のAIで広く用いられている機械学習とは異なるやり方でアルゴリズムを開発するためのツールとして利用されてきた。今後は、そういった既存ユーザーも機械学習や深層学習を活用していく必要がある。MATLAB/Simulinkが、AI関連の機能拡充を続けてきたのは、従来の開発成果と、機械学習や深層学習によって新たに開発した機能の統合を、MATLAB/Simulink上でワンストップで行えるようにする狙いがあった。

 特に代表的な機能になるのが、2018年9月にリリースしたバージョン「R2018b」におけるONNX(Open Neural Network Exchange)への対応だろう。具体的には、MATLABを用いた深層学習用のフレームワークである「Deep Learning Toolbox」に、ONNXコンバーターを介して、さまざまなフレームワークで作成された深層学習モデルのインポートやエクスポートを行える機能拡張を行った。ONNXはFacebookなどが中心になって発足した深層学習モデルの交換フォーマットを開発するコミュニティーであり、ONNXコンバーターによってTensorFlowやCaffe2、CoreMLとMATLABの間で、深層学習モデルのインポートとエクスポートの両方が可能になる。「MATLAB/Simulinkは、AIの開発環境として相互運用性と接続性が極めて高い」(ロブナー氏)。

ONNXに対応することで、AIの開発環境としての相互運用性と接続性を高めた
ONNXに対応することで、AIの開発環境としての相互運用性と接続性を高めた(クリックで拡大) 出典:MathWorks

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