製造現場のエッジコンピューティングの基盤として普及着々、Edgecrossの現状:FAニュース
Edgecrossコンソーシアムは2019年10月8日、「第1回 Edgecrossフォーラム」を開催。同コンソーシアムが推進するエッジコンピューティング基盤「Edgecross」の現状を紹介した。会員外の企業も募ったフォーラムの開催は初めてのこととなる。
Edgecrossコンソーシアムは2019年10月8日、「第1回 Edgecrossフォーラム」を開催。同コンソーシアムが推進するエッジコンピューティング基盤「Edgecross」の現状を紹介した。会員外の企業も募ったフォーラムの開催は初めてのこととなる。
「数よりも価値を重視」
「Edgecrossコンソーシアム」は2017年11月にアドバンテック、オムロン、NEC、日本IBM、日本オラクル、三菱電機の6社が幹事会社となって設立。その後日立製作所も幹事会社として加わり、この7社を中心に運営を進めている。2018年5月にはエッジコンピューティングの共通基盤となる「Edgecross」基本ソフトウェアとデータ連携を実現するデータコレクタ、アプリの販売を開始した。
実質的に活動を本格化させたのは2018年度(2019年3月期)からで初年度は認知と会員拡大を中心に活動を行い、2019年3月までに250社の会員企業を獲得した。2019年度は「数よりも価値を重視した取り組みにシフトする」(Edgecrossコンソーシアム 事務局長の徳永雅樹氏)とし、具体的な価値や成果につながる取り組みを進めてきた。
2019年9月末時点でのEdgecrossコンソーシアムの会員企業は290社と半年間で新たに40社の企業が参加。さらに、Edgecross基本ソフトウェアのライセンス販売数は2200を超えたという。会員企業が展開する認定製品も35社から提供が開始され、今後さらに増える見込みだという。
徳永氏は「導入検討企業も増えてきた。食品や飲料、家電、素材、自動車部品、機械などさまざまな業種で検討が進んでいる。導入目的についても設備稼働管理や製品品質管理などさまざまで、広がりが出てきた」と述べている。
同コンソーシアムは部会ベースでの活動を中心としているが、技術仕様などを開発するテクニカル部会ではEdgecrossの使用拡張や認定試験仕様の策定などを進めた他、セキュリティガイドラインを策定し2019年10月末に公開予定だという。さらにリアルタイムデータ処理要求仕様とデータモデル要求仕様を2020年2月に策定する予定としている。
また、新たな取り組みとしては、Edgecross基本ソフトウェアを使った商品開発を加速させるために「基本ソフトウェアトレーニング」を2019年9月から開始した。1カ月に1回ペースで開催していくという。ユーザー企業へのシステム導入を広げていくため、SIパートナー制度も新たに開始した。その他、マーケットプレースの機能強化や基本ソフトウェアの30日体験版を用意するなど、普及拡大に向けた取り組みを強化している。
海外展開についても徐々に本格化させていく方針だ。各海外関連団体との協力を推進する他、海外のパートナーなども一部で募り始めており、中国や台湾などを皮切りに、展開を進めていく。
その他、Edgecrossの普及に貢献した事例や製品、企業を表彰するアワードも新設する。2019年10月末〜11月末に公募しその後2020年1月までに申請。2020年3月の会員フォーラムで表彰するという流れである。「大賞」「テクニカル部会賞」「マーケティング部会賞」「功労賞」などが用意されるという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 定着進むエッジクロス、会員は250社を突破し1460ライセンスを販売
エッジコンピューティングにおける共通基盤の構築を目指す「Edgecrossコンソーシアム(エッジクロスコンソーシアム)」は2019年3月13日、会員企業を対象としたEdgecrossコンソーシアム会員フォーラムを開催。その中で会員企業の状況やライセンス販売の状況などを報告した。 - ついに三菱電機がオープン化へ、スマート工場実現に導くエッジ基盤提供
三菱電機は製造業のスマート化に向けた新たなエッジ領域の「FA-ITオープンプラットフォーム」を提案する。生産現場とITシステムを簡単につなぐ基盤を提供することで、従来構築が難しかったスマート工場実現を支援する。 - 自律するスマート工場実現に向け、IoTプラットフォーム連携が加速へ
製造業のIoT活用はスマート工場実現に向けた取り組みが活発化している。多くの企業が「見える化」には取り組むが、その先に進むために必要なIoT基盤などではさまざまなサービスが乱立しており、迷うケースも多い。ただ、これらのプラットフォームは今後、連携が進む見込みだ。 - 2018年の製造業IoTは“プラットフォーム”元年に――ウフル専務八子氏
IoT関連のサービス構築やコンサルティングなどで大きな存在感を発揮しているウフル。そのウフルで専務執行役員を務める八子知礼氏は、IoT関連の識者として知られ、国内企業のIoT活用について提言してきた。そこで八子氏に、国内における製造業のIoT活用の状況や、今後取り組むべき方策について聞いた。 - IoTプラットフォームが引き出すスマート工場の真の価値
今後の製造業の発展に向けて必要不可欠とみられているIoT(モノのインターネット)。本連載では、IoTの現在地を確認するとともに、産業別のIoT活用の方向性を提示していく。今回は、スマート工場におけるIoTの価値がどのような仕組みで実現されていくかについて紹介する。 - 第4次産業革命を支えるIoTプラットフォームって結局何なの?
製造業の産業構造を大きく変えるといわれている「第4次産業革命」。本連載では、第4次産業革命で起きていることや、必要となることについてお伝えしています。第10回となる今回は、2016年から雨後のタケノコのように乱立する「IoTプラットフォーム」について説明したいと思います。 - いまさら聞けない「デジタルツイン」
デジタルツインというキーワードを、IoT活用やデジタル変革(DX)の流れの中で耳にする機会が多くなった。デジタルツインとは何か? について「5分」で理解できるよう簡単に分かりやすく解説する。