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物流現場で前提となるデジタル化、SCMをさらに高めるために必要なものモノづくり最前線レポート

ロジスティクスの高度化などに関する展示会「ロジスティクスソリューションフェア2019」(2019年8月27〜28日、東京ビッグサイト)において開催されたロジスティクスカンファレンスで、フレームワークスCEOの秋葉淳一氏が登壇。「SCMとデジタルロジスティック」と題して、新たなサプライチェーンの在り方について講演した。

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 ロジスティクスの高度化などに関する展示会「ロジスティクスソリューションフェア2019」(2019年8月27〜28日、東京ビッグサイト)において開催されたロジスティクスカンファレンスで、フレームワークスCEOの秋葉淳一氏が登壇。「SCMとデジタルロジスティック」と題して、新たなサプライチェーンの在り方について講演した。

コピーできるデジタルの力を活用する

 ロジスティクスにロボティクスの活用など自動化が進まない現状があるが、秋葉氏は「あらためてSCM(サプライチェーンマネジメント)を見直すことが必要だ」と強調する。

 経営資源には「ヒト・モノ・カネ」に加えて、現在では「情報」が加わるとされている。ただ、この情報はデジタル化されていないと全く意味がない。AI(人工知能)やロボティクスを用いるときにもこの「デジタル化された情報」は必要条件となる。SCMの目的は、「無駄に作らない」「無駄な在庫を持たない」「無駄に動かさない(運ばない)」の3つに集約される。これができれば、商品(製品)を無駄なく(時間、コスト含めて)顧客に届けることができる。

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フレームワークスCEOの秋葉淳一氏

 しかし現状ではこうした仕組みが効果的に実現できているかといえばそうではない。その理由としては「企業をまたいでいる」「国をまたいでいる」「情報が分断される」「状況がリアルタイムに分からない」などが要因として挙げられている。しかし、これらについて「国をまたぐなどは当たり前のことであり理由にならない。また、5Gなどの技術により今後はさらにリアルタイムに情報を把握できる領域も広がってくる」と秋葉氏は指摘する。

 さらに、モノのデジタル化やネットワーク化(IoT化)が急速に拡大し、ビッグデータ解析技術も進展している。AIなども進化し、判断の高度化や自律制御が進展している。リアルタイムでデータを取得できるだけでなく、利活用まで含めてリアルタイムに行える環境が広がりつつあるのだ。

 アナログとデジタルを対比してみると、アナログは曖昧(あいまい)さ許す人間的なもの(属人的)であり、デジタルは機械的なものとイメージされている。しかし、秋葉氏は「重要なポイントは『デジタルはコピーしやすい』『アナログはコピーしづらい』ということだ」とした。

 属人的なものは非効率で経験や勘に頼り、特定の人物のスキルに依存することになる。一方で「デジタルの世界において最適化されれば、パフォーマンスを出せるようになったロボットは、他の現場に持っていくことができる」と秋葉氏は述べている。

 さらに秋葉氏は「自動化を推進する中で個別の現場だけを取り上げて投資金額に見合うかどうかを議論するケースがあるがそれは論点が間違っている。例えば、パートなどの人手を習熟させて生産性を高めてきた現場は、その現場の生産性は高いがそのまま他の現場にコピーすることはできない。同じような習熟プロセスが必要になる。AIやロボットを使った現場はそのまま他の現場でも同様の生産性でコピーできるという点が最大の特徴である。この点まで考えて投資金額を判断する必要がある」と考えを述べている。

 こうした状況において、人間ができることは「意思決定」「戦略立案」「経営判断」となる。秋葉氏は「ロジスティクスなどの現場で自動化やロボティクスを進めることは、人間が意思を持って決めていく必要がある」と結論付けている。

自動化しやすい現場とそうでない現場

 ただ、その場合でも実際に、自動化しやすい現場と、そうでない現場があるようだ。あるデータによると、2030年のヨーロッパでは全体の40%が自動化されるという。「日本では欧米から5年程度遅れるといわれていることから、2035年頃にはその程度の数字になると見込まれている」(秋葉氏)。

 この40%以外については、プリンタやハンディ端末など、人間が作業しやすいように支援する道具を使うことになる。人間が認識しやすくするための方法としては見ることが最適であり、デジタルデータとすることにより、より注目させることができるようになる。デジタル化された情報(データ)は、結果的に人間のサポートにもAIやロボットにも活用することができる。

 秋葉氏は「デジタル化というベーシックなことをやらなければ、そもそもが進まない」とする。最近では人を集めるのが難しく、派遣社員の比率が高まっている。これらの人は同じ時間に同じ仕事をすることが少ないため、習熟度がなかなか上がらない。そのため「こうした人たちに仕事について考えさせたり、悩ませたりしないようにすることが非常に重要となる」(秋葉氏)という。

 秋葉氏は「これらの状況を考えるとデジタル化を進めることはその先の前提として必要になってきている。その上でSCMの目的を達成するために、計画精度を向上させる。また、それが実現できる環境を整備することがポイントとなる」とした。そして、「そうした世界が作れるようにロジスティクスを見直すことができれば、商品を無駄なく顧客に届けることができる」と訴えた。

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