病棟におけるAIを用いた手指衛生モニタリング手法の評価研究を開始:医療機器ニュース
オプティムと聖路加国際大学は、同病院を研究の場として、「OPTiM AI Camera」を用いた手指衛生モニタリング手法の評価研究を開始した。
オプティムと聖路加国際大学は2019年9月12日、同病院を研究の場として、オプティムの「OPTiM AI Camera」を利用した手指衛生モニタリング手法の評価研究を開始したと発表した。実施期間は同年8月2日〜2020年1月31日までを予定する。
聖路加国際病院では、組織内の医療の質を評価するQI(医療の質の評価指標)を測定・公表している。QIは業務改善や医療安全、医療の質の向上につながる情報で、QIの指標の1つに手指衛生実施率があり、これが今回の研究対象になっている。
手指衛生実施率は、病棟内に設置されたサーベイランスカメラで撮影した映像から、手指衛生の実施状況を直接観察法でモニタリングして算出。同時に、実施率を組織内にフィードバックすることで、手指衛生実施率の向上を目指す。
これまでの直接観察法は、手指衛生を行ったかどうかだけでなく、手指衛生を要するタイミングや推奨される方法で実施されたかを判断できる長所があるが、モニタリングを実施する人員や時間を確保しなければいけない短所があった。
本研究では、手指衛生モニタリングにOPTiM AI Cameraを活用。カメラ映像をAI(人工知能)で解析し、人物が出入りした部分を自動抽出して、モニタリング業務を支援する。
OPTiM AI Cameraは、店鋪や施設など業界別および利用目的別に設置されたさまざまな種類のカメラからデータを収集し、学習済みモデルを活用して画像解析を行うことでマーケティング、セキュリティー、業務効率などの領域を支援するパッケージサービスだ。
研究は聖路加国際病院の2病棟を対象とし、半年間にわたってAIを活用したモニタリングと従来方法によるモニタリングを並行して行う。病棟ごとに手指衛生実施率を算出し、従来法でモニタリングを実施した場合と、AIを活用したモニタリングを行った場合の実施率、観察された手指衛生機会数、所要時間などの違いについて、時系列分析を用いて評価する。
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