AI技術を用いた間質性肺炎の診断支援技術を共同開発:医療機器ニュース
富士フイルムと京都大学は、AI技術を用いて間質性肺炎の病変を自動分類し、定量化する技術を共同開発した。CT画像から肺の7種類の病変性状を識別し、自動分類して測定することにより、間質性肺炎の病変を定量化する。
富士フイルムは2019年4月9日、AI(人工知能)技術を用いて間質性肺炎の病変を自動分類し、定量化する技術を開発したと発表した。同技術は、京都大学大学院医学研究科 教授の平井豊博氏と共同で研究開発したものだ。
今回、開発した技術は、AI技術を活用したソフトウェアがCT画像から肺の7種類の病変性状を識別し、自動分類して測定することにより、間質性肺炎の病変を定量化する。また、肺野内における病変の分布と進行状態を詳細に確認できるよう、肺野を12の領域に分割し、その領域ごとに病変の容積および割合を表示する。
富士フイルムと京都大学は、2018年春から同技術の開発に関する共同研究を開始。同社が開発した間質性肺炎の病変を分類、定量化するAI技術を、京都大学が保有する症例データに適用し、識別性能の評価と改善のフィードバックを実施した。そして、各性状が取り得る画像パターンのバリエーションを分析・改良することで、高精度な識別性能を持つ同技術を開発した。
同技術は、間質性肺炎の画像診断補助、病状経過におけるCT画像陰影の変化を定量値で客観的に評価、肺の12の領域ごとに病変の評価を行うことによる詳細な病状の把握、定量的および客観的な治療効果の判定、新規薬剤の治験における薬効評価指標への応用、間質性肺炎の病態解明や予後予測など臨床研究への応用など、多くの臨床応用の可能性が期待される。
同社は2020年度中に、自社の医療機関向けシステム上で、同技術を使用できる画像診断支援機能の実用化を目指すとしている。
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