北欧型AI戦略とリビングラボから俯瞰する医療機器開発の方向性:海外医療技術トレンド(45)(1/3 ページ)
本連載で取り上げた北欧・バルト海諸国のヘルスデータ改革の波は、AI(人工知能)戦略と融合しようとしている。
本連載第32回で取り上げた北欧・バルト海諸国のヘルスデータ改革の波は、AI(人工知能)戦略と融合しようとしている。
デンマーク政府が国家AI戦略を策定
図1 デンマーク財務省および産業・ビジネス・金融省「デンマーク国家人工知能戦略」 出典:「Danish National Strategy for Artificial Intelligence」(2019年3月14日)
2019年3月14日、デンマーク王国政府の財務省と産業・ビジネス・金融省は、「デンマーク国家人工知能戦略」を発表した(図1参照、関連情報)。
デンマーク政府は、OECDおよび欧州委員会の定義(関連情報を引用しながら、AIについて、アルゴリズム(数式)に基づくシステムで、データにおけるパターンの分析および特定によって、最適なソリューションを特定することができるものであるとしている。
この戦略では、「AIの責任ある開発および利用において、デンマークがフロントランナーとなる」をビジョンとして、以下の4つの目標を掲げている。
- デンマークが、人工知能に関して、人間中心で共通の倫理基盤を持つ
- デンマークの研究者は、人工知能の研究開発を行うべきである
- デンマークの企業は、人工知能の開発および利用を通して、成長を達成すべきである
- パブリックセクターは、ワールドクラスのサービスを提供するために、人工知能を利用すべきである
これらの目標を達成するため、表1に示す通り、4つの焦点領域に総計20の具体的なイニシアチブが設定された。
表1 デンマーク国家AI戦略のフォーカス領域とイニシアチブ(2019年3月14日)(クリックで拡大) 出典:「Danish National Strategy for Artificial Intelligence」(2019年3月14日)を基にヘルスケアクラウド研究会が作成
その上でデンマーク政府は、AIの優先順位が高い領域として、以下の4つを挙げている。
- 医療
- エネルギーとユーティリティー
- 農業
- 交通
これらのうち医療については、医師が病気をより迅速に診断したり、最も救急ニーズの高い患者を優先させて、病院のよりよい稼働率に貢献したりするために、AIを役立てることができるとしている。デンマーク政府は、医療分野の具体的なAIプロジェクトの例として、心不全の特定、CAT/MRIスキャン支援を挙げている。
国家AI戦略に先立ち、デンマーク産業・ビジネス・金融省は、2018年1月、「デジタル成長戦略」(関連情報)を発表している。その中でもAIは、ビッグデータ分析、IoT、ロボティクスと並ぶデジタル技術の有望適用領域として位置付けられている。
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