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LoRaWANを再定義するIIJ、PoCを安価に立ち上げられるゲートウェイを発売製造業IoT(2/2 ページ)

IIJと台湾のKiwi TechnologyがIoT活用に向けたLoRaWANの事業展開で協業する。Kiwi製のLoRaWANゲートウェイに、IIJが開発したLoRaWANの運用に必要なネットワークサーバ機能を組み込んだ製品や、LoRaWAN対応センサーなどをIIJが国内向けに販売する。

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LoRaWANよりも多く導入されている“プライベートLoRa”

 有力なLPWAの方式と見られているLoRaWANだが、普及に向けては多くの課題がある。齊藤氏は「相互接続が可能なLoRaWANよりも、通信方式としてLoRaだけを用いていて相互接続ができない“プライベートLoRa”の方が多く導入されているのが現状だろう。これは920MHz帯域が混雑する一因にもなっている。また、LoRaWANのメリットは、規格に準拠したデバイスであればベンダーを問わず接続できることだが、プライベートLoRaが普及しても相互接続できないデバイスが増えるばかりで、LoRaWAN準拠デバイスのコスト削減にはつながらない」と指摘する。

LoRa、LoRaWAN、プライベートLoRaの違い
LoRa、LoRaWAN、プライベートLoRaの違い(クリックで拡大) 出典:IIJ

 また、LoRaWANの普及が進まない理由としては、「NB-IoTやSigfoxの対抗馬として月額料金の通信サービスを提供可能」「山の上に基地局を設置すれば100km離れていても通信可能、基地局1台で大量の子機を収容できる」といった過剰な期待に対して、それらの実現が難しいという問題があった。齊藤氏は「LoRaWANはまず大量のデータ送受信には向いていない。そして100km、10kmといった通信距離は現実的ではなく、最も得意とするのは1kmくらい。例えば、1つのビル内、1つの店舗内に設置するIoTセンサーとつなげるのに最適だ。この強みを生かした展開が必要だと考えている。イメージとしては、通信速度は遅いがよく飛ぶ無線LAN、“ビッグWi-Fi”と捉えるべきだ」と述べ、LoRaWANを再定義した上で事業展開を進める方針を示した。

LoRaWANへの過剰な期待と現実LoRaと他通信方式との比較 LoRaWANへの過剰な期待と現実。プライベートLoRaが増えてもコストは下がらない(左)。LoRaと他通信方式との比較(右)(クリックで拡大) 出典:IIJ
LoRaWANのポジショニングは“ビッグWi-Fi”が最適
LoRaWANのポジショニングは“ビッグWi-Fi”が最適(クリックで拡大) 出典:IIJ

 今後の事業展開では、実証実験を進めている農業の他、2020年6月から義務化されるHACCP対応に向けた小売店舗や冷凍冷蔵車などのサプライチェーン、スマートビルディングなどをユースケースとして想定している。オンプレミスでの運用の需要が強いスマート工場も、ネットワークサーバ機能をビルトインしたゲートウェイの引き合いが強いと想定している。「アナログメーターの数値を読み取って送信するIoTセンサーなどもそろえている」(Kiwitec日本法人 社長のピーター・リン氏)という。

屋外対応ゲートウェイLoRaWAN準拠の温度センサー IIJが販売するKiwitecのLoRaWAN関連の製品。IIJの齊藤氏が手に持っているのがネットワークサーバ機能をビルトインした屋外対応ゲートウェイで約30万円(左)。屋内向けゲートウェイはそれよりも安価になる。また、8チャネルの屋内向けゲートウェイは小型でUSB給電が可能。ネットワークサーバ機能はないが、価格は約5万円と安価だ。Kiwitecのリン氏が手に持っているのがLoRaWAN準拠の温度センサーで、価格は1万〜2万円とのこと(右)(クリックで拡大)

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