感覚を数値化した車いすレーサーの開発とその先の未来を見据えるRDSの挑戦:デザインの力(3/3 ページ)
RDSは、東京都内でプロジェクト発表会を開催。ボーダーレスな未来を描く3つの最先端プロダクトとして、アスリート向け車いすレーサー「WF01TR」、最適なシーティングポジションの検討に役立つシミュレーター「SS01」、通信対戦が可能なVRレーサー「CYBER WHEEL X」を発表した。
2100年の東京を疾走できるVRレーサー「CYBER WHEEL X」
そして、3つ目のプロダクトがCYBER WHEEL Xだ。このプロダクトは、ワントゥーテン(1→10)が2017年に開発したVRレーサー「CYBER WHEEL」をベースに、RDSやfuRoなどが技術協力し、進化させたもの。WF01TRをモデルとした筐体に乗り、VRヘッドセットを装着し、2100年の東京を舞台にした仮想世界のコースを疾走できる。
通信対戦やデータ対戦の実現、高低差のあるコースに合わせてハンドリムの負荷を自動調整するなど、ゲームとしてだけではなく、車いすアスリートのトレーニングにも活用できるとする。
「エンターテインメントが入口にはあるが、実際にはもっと現実世界を変えられるようなプロダクトとして発展できるのではないかと期待している。また、今は車いすレーサーだが、車いすバスケや車いすテニスなどにも転用可能であるし、一般的なスポーツジムのトレーニングマシンとして活用することもできるだろう」と、ワントゥーテン 代表取締役社長の澤邊芳明氏は、CYBER WHEEL Xの今後の可能性について語る。
WF01TR、SS01、CYBER WHEEL Xと3つのプロダクトを一挙にお披露目したプロジェクト発表会の最後、RDSの杉原氏は「今回、多くのサポートにより実現した3つのプロダクトを紹介してきたが、これらプロジェクトで培った技術を皆さんの生活の中に落とし込んでいくことが、RDSが最終的に目指していることだ。そうした世界の実現に向けて、常にワクワク感を忘れずにまい進していきたい」と抱負を述べた。
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