防虫管理は守りから攻めへ、「世界初」のAIを採用した捕虫器が誕生:人工知能ニュース(2/2 ページ)
アース環境サービスとLuci、ゴウハウスの3社は2019年9月12日、昆虫の混入事故を防止するAI(人工知能)捕虫器「RIG1.0」を共同開発したと発表した。昆虫を誘引する光源としてLEDを採用したことや、捕獲昆虫の判定やカウントで「おそらく世界初のAIシステムを構築した」(ゴウハウス CEOの佐藤哲也氏)ことが特徴だ。
世界初のAIとLED光源を採用したRIG1.0
今回、3社が開発したRIG1.0では、捕獲昆虫の種の判定、個体数のカウントに特化した独自AIによって調査にかかるリードタイムを数分まで削減した。AIの開発はゴウハウスが担当。RIG1.0に備えられたカメラで撮影された捕虫器内の画像は、インターネットを介して「オーディン」と「フリッグ」と名付けられた2種類のAIが動作するサーバに転送され、解析が実行される。解析結果はWebアプリケーションから確認できる。
ここで、解析を行うオーディンはCNN(畳み込みニューラルネットワーク)であり、画像解析によって個体数のカウントや種の推定を行う。一方、虫体の破損などにより画像解析が困難な場合には、画像データは用いずに過去の経験則により推論を行うAIであるフリッグが補完的に動作する。ゴウハウス CEOの佐藤氏は、AIで課題である過学習、局所解、ブラックボックス化を、オーディンとフリッグの組み合わせによって解決したと主張する。
「いうなればオーディンは前頭葉、フリッグは海馬のようにふるまう。オーディンはディープラーニングで、フリッグはわれわれが独自に開発した『エピソードAI』だ。これらを組み合わせたシステムの構築はおそらく世界で初めてだろう」(佐藤氏)
また、RIG1.0では捕虫器の光源として、従来より用いられている蛍光管ではなく新たにLEDを採用したことが特徴だ。蛍光管は消費電力や水銀含有の面でデメリットがあり、捕虫器の光源としてLEDへの移行が望まれていたが、LEDは虫を誘引する能力が蛍光管と比較して低いとされ採用が進まなかった。アース環境サービスとLuciは、昆虫の眼の構造や光に対する走光性など、生物学的な観点から発想を得た技術を活用し、RIG1.0において蛍光管を利用する捕虫器と同等以上の捕獲性能を確保したとする。
RIG1.0は、本体価格の月賦を含むリカーリング型ビジネスで提供される。サービスイン当初は、1時間に1回の頻度で撮影、解析、即報を提供する月額3万円の「プラン720」と、24時間に1回の頻度で提供する月額2万円の「プラン30」が用意される。RIG1.0自体は10分に1回の頻度まで対応できるとし、機能のアップデートを継続して行い「進化する捕虫器」としてバージョンの数値を上げていく意向を示した。
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