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ワクチン製造時の無菌操作をVRで習熟、NECが提供:製造IT導入事例
NECは、感染症ワクチン製造工程における無菌操作トレーニング向けVRソリューションを武田薬品工業に提供する。無菌室内の設備を再現した仮想空間上で、機器を用いた無菌操作を体感学習できる。
NECは2019年8月29日、NECソリューションイノベータと共同で、感染症ワクチン製造工程における無菌操作トレーニング向けVR(仮想現実)ソリューションを武田薬品工業に提供すると発表した。
このVRトレーニングは、安全キャビネットや細胞培養用のフラスコ、電動ピペッターなどの無菌室内の設備を再現し、それらの機器を用いた無菌操作を仮想空間上で体感学習できる。
単に操作を疑似体験するだけではなく、培養細胞や培養液、ボトル、細胞培養用フラスコ、ピペットなどの器具と、作業者の手の位置、角度、接触の状態から「コンタミネーション(雑菌などの異物混入)リスクの高い操作」を検出して、作業の正確さを自動的にチェックする。20種類ある順守事項に対して、それに抵触する260のケースを検出。作業者に対し、コンタミネーションリスクとなる部位や原因、適切な対処方法、回避方法を提示する。
同ソリューションを導入することで、トレーニングの場所や時間の制約がなくなる。また、指導者が不在でも、訓練者自身で順守事項の確認が可能だ。トレーニングに使用する溶液や資材の破棄量削減にもつながる。
なお、同ソリューションは、ニーズに合わせてVR空間を構築し、ヘッドマウントディスプレイなどと組み合わせて提供する、同社の「法人VRソリューション」を活用。武田薬品工業では、同年9月より利用を開始する予定だ。
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