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さまざまな幾何公差【その2】〜その定義や例、測定方法について〜産機設計者が解説「公差計算・公差解析」(7)(3/3 ページ)

機械メーカーで機械設計者として長年従事し、現在は3D CAD運用や公差設計/解析を推進する筆者が公差計算や公差解析、幾何公差について解説する連載。第7回は前回に引き続き、“具体的な幾何公差”について取り上げる。

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前回の復習

 円筒部品(軸物)の真直度は2種類あります。1つが「軸線(中心軸)の真直度」(図7)、もう1つが「母線(稜線)の真直度」(図8)です。

図7 軸線(中心軸)の真直度
図7 軸線(中心軸)の真直度 [クリックで拡大]
図8 母線(稜線)の真直度
図8 母線(稜線)の真直度 [クリックで拡大]

3次元測定機による測定方法

 軸線(中心軸)の真直度測定は、以下の通りです。

図9 軸線(中心軸)の真直度測定
図9 軸線(中心軸)の真直度測定 [クリックで拡大]
  1. 測定対象のワークを図9のように水平に置き、測定圧で動かない程度に固定します
  2. 中心軸方向に測定箇所を任意の5カ所(A〜E)に設定します
  3. 任意に設定した5カ所(A〜E)の1カ所に対して、図9のように半円上で5カ所(A-1、A-2、A-3、A-4、A-5、B-1、B-2、B-3、B-4、B-5……E-5)を測定します
  4. 3.の結果、5カ所(A〜E)の中心座標を求めることができます
  5. 4.の中心座標を求めた後、最小2乗法の計算により、軸線の真直度を求めることができます

母線(稜線)の真直度測定に対する注意 
・最低90度方向に回転させた状態でも測定を行います
・測定箇所は多いほど測定自体よくなりますが、効率も考慮すべきです

Vブロックとダイヤルゲージによる測定方法

 母線(稜線)の真直度測定は、以下の通りです。

図10 測定方法イメージ
図10 測定方法イメージ [クリックで拡大]
  1. ワークをVブロックに置き、真直度を簡単に求めるため、軸部品の左右の両端近くにダイヤルゲージを配置します
  2. 図10のようなマイクロジャッキを使って、測定ワークの左右両端が同じ高さになるように調整します
  3. ダイヤルゲージ(最小目盛り1μm)を使って任意の箇所を測定し、最大値と最小値の差を求めます。これが真直度となります

注記

  • 3次元測定機と同様、最低でも90度回転方向の2カ所で測定します
  • ダイヤルゲージの端子は、測定対象ワークの直径にもよりますが、先端径が1〜3mm程度のものを使用し、球形の端子は使用しません
  • 測定対象ワークの直径の精度が確保できている状態であれば、“母線の真直度≒軸線の真直度”と判断することも可能です


 さて、前回と今回で、データムを必要としない幾何公差について説明しました。次回から“データムを必要とする幾何公差”について解説します。お楽しみに! (次回に続く

Profile

土橋美博(どばし・よしひろ)

1964年生まれ。25年間、半導体組み立て関連装置メーカーで設計・営業・3次元CAD推進を行う。現在、液晶パネル製造装置を主体に手掛ける株式会社飯沼ゲージ製作所で3次元CADを中心としたデジタルプロセスエンジニアリングの構築を推進する。ソリッドワークス・ジャパンユーザーグループ(SWJUG)の代表リーダー・事務局も務める。



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