さまざまな幾何公差【その2】〜その定義や例、測定方法について〜：産機設計者が解説「公差計算・公差解析」（7）（2/3 ページ）

機械メーカーで機械設計者として長年従事し、現在は3D CAD運用や公差設計／解析を推進する筆者が公差計算や公差解析、幾何公差について解説する連載。第7回は前回に引き続き、“具体的な幾何公差”について取り上げる。

[土橋美博／飯沼ゲージ製作所，MONOist]

1-6．面の輪郭度（Profile of a Surface）

公差域の定義

　次に、面の輪郭度です。JIS規格では「理論的に正確な寸法によって定められた幾何学的輪郭からの面の輪郭の狂いの大きさをいう」と定義されています。

　面の輪郭度の評価対象となる形体は、「1枚の自由曲面（平面も含む）」ということになります。

例

図5　2次元図面での例（面の輪郭度）　［クリックで拡大］

　線の輪郭度が任意の断面における線だったのに対し、面の輪郭度は2曲面間（2平面間）の領域となる曲面（平面を含む）、すなわち3次元空間を領域とします。

図6　公差領域のイメージ（面の輪郭度）　［クリックで拡大］

　自由曲面に面の輪郭度を示す場合、表面形体への指示になります。その形体の理論寸法を表す寸法線とともに使用します。

測定方法

　測定には、3次元測定器や輪郭形状測定機などを使用します。

読者からの質問と回答

　前回、真直度公差を取り上げたところ、読者から質問がありました。とても良い質問だったので、ここで取り上げさせていただきます。

読者からの質問

【質問（1）（読者）】
　円筒の中心線に沿わせて接触式プローブ（ピック）を走らせないと測定誤差が生じてしまうと思いますが、この測定誤差を入れないようにするにはどうしたらよいでしょうか？

【質問（2）（読者）】
　円筒表面に真直度公差が必要な設計とは、どのようなケースに適用されるのでしょうか？

筆者の回答

【質問（1）に対する回答（筆者）】
　真直度公差は「真っすぐさを規定するもの」になります。よって、平面ではなく直線に適用されます。円筒軸に真直度を適用する場合、回転方向は任意となります。測定方法は「平面の真直度公差と同じ測定方法になります」と説明しましたが、質問にあったように中心線上表面の直線を測定する必要があります。

　測定対象は軸モノ（円筒）ですので、その回転によって最大となる位置を見つけて、その軸線方向に対してダイヤルゲージ／ハイトゲージを移動させることにより測定するという方法を考えました。

【質問（2）に対する回答（筆者）】
　円筒（円柱）形状部品でその反りを規制しなければならない部品を適用事例として想定しました。

　なお、質問（1）については、幾何公差とその測定方法について詳しいプラーナーに相談しました。以上を踏まえた上で、解説を続けます。