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“モノづくりの民主化”を象徴する、発展し続ける3Dデータを取り巻く世界日本におけるファブラボのこれまでとこれから(4)(4/4 ページ)

日本で3番目となる「ファブラボ渋谷」の立ち上げを経験し、現在「ファブラボ神田錦町」の運営を行っている立場から、日本におけるファブラボの在り方、未来の理想形(これからのモノづくり)について、「これまでの歩み」「現在」を踏まえつつ、その方向性を考察する。今回は、作り手が使用する“ソフトウェアサービス”にフォーカスし、3Dデータを取り巻く環境を掘り下げる。

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大英博物館

図12 「大英博物館」のWebサイト
図12 「大英博物館」のWebサイト(https://sketchfab.com/britishmuseum)[クリックで拡大]

 大英博物館のコレクション255点の3Dプリント用データが公開されています。このデータはWebブラウザ上で閲覧できる他、3Dプリントに適したファイル形式でダウンロードできます。

地理院地図3D

図13 「地理院地図3D」のWebサイト
図13 「地理院地図3D」のWebサイト(http://cyberjapandata.gsi.go.jp/3d/index.html)[クリックで拡大]

 「地理院地図3D」は国土地理院が提供する、日本の地形を3Dデータで取得できるサービスです。取得したデータを3Dプリントすることで、日本の複雑な地形を手で触れて体感できます。

Nervous System

図14 「Nervous System」のWebサイト
図14 「Nervous System」のWebサイト(http://n-e-r-v-o-u-s.com/)[クリックで拡大]

 米国ニューヨークのNervous Systemというデザインスタジオが運営する3Dプリンティングネットショップです。ファッションを中心とした、3Dプリント商品をオンラインで購入できます。このサービスでは「Generative Design(ジェネレーティブデザイン)」という技術が使われています。3Dプリンティングなどのデジタルテクノロジーの普及により実現した、次世代の形状設計が施されています。

 TOPページの「LABS」をご覧ください。中段にある「apps」で紹介されている各プログラムを使うと、ジェネレーティブデザインを体感しながら、オリジナルの形状を設計できます。気に入った形が作れたら、すぐにオンライン購入が可能です。

Instructables

図15 「Instructables」のWebサイト
図15 「Instructables」のWebサイト(https://www.instructables.com)[クリックで拡大]

 「Instructables」は作り方が世界中から集まる、メイカーズのためのレシピサイトです。「どうやって作ったらいいのか?」に悩んだら、このWebサイトで解決策のヒントが得られるはずです。ハンドクラフトから電子工作、アウトドア用品など、さまざまな生活シーンに合わせたアイデアがここに並んでいます。

まとめ

 「モノづくりの民主化」という社会変化の一つの象徴として、今回紹介したような個人レベルでもアクセスできる、3Dデータを取り巻く世界の発展が挙げられます。低価格でありながら、プロユースと変わらない設計作業が可能な3D CADソフトウェアの登場、そして3Dデータを介したオンラインコミュニティーがそれを支えています。

 もう1つ、「クリエイティブ・コモンズ」という新しい著作権ルールがそれを加速させています。これは作品を公開する制作者が「この条件を守れば私の作品を自由に使って構いません」という意思表示をするためのツールです。今回紹介したオンラインプラットフォーム/データライブラリのほとんどが、このルールを採用して運用しています。詳しくは、クリエイティブ・コモンズのWebサイトをご覧ください。

 ご覧いただいたように、既に3Dプリンティングを楽しめる環境が整っていますので、興味のある方は今回の内容を参考に3Dデータを用意して、近くのファブラボやメイカースペースを訪れてみてください。(次回に続く

筆者プロフィール

梅澤陽明(うめざわ ひろあき)

1984年神奈川生まれ。一般社団法人デジタルファブリケーション協会 代表理事。ファブラボ神田錦町 チーフディレクター。大手建設機械メーカー設計部にて、超大型ショベルの設計開発に従事。在職中に「ファブラボ」活動を知り、起業を決意。ファブラボジャパンのメンバーとして、ファブラボ鎌倉の立ち上げサポートの後、ファブラボ渋谷をスタートさせる。運営メンバーとして現職。自身の専門から、数あるデジタルツールの中でも、3Dモデリングを活用したエンジニアリングや、3Dプリンティングを専門とする。デジタルものづくり手法を組み込んだ試作開発や、多品種小ロットプロダクトの企画製作に取り組みながら、ファブラボで語られる思想を社会に溶け込ませることを目指している。



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