三菱電機グループが品質体制の調査結果を公表、一部で不適切行為:製造マネジメントニュース
三菱電機は2019年8月2日、国内全事業所と同社子会社を対象に実施した「品質保証体制の再点検」の調査結果を公表した。同社グループ会社の菱三工業(神戸市)で不適合品の出荷などがあった他、同社グループの一部製品で顧客要求の検査漏れなどがあった。
三菱電機は2019年8月2日、国内全事業所と同社子会社を対象に実施した「品質保証体制の再点検」(以下、全社再点検)の調査結果を公表した。同社グループ会社の菱三工業(神戸市)で不適合品の出荷などがあった他、同社グループの一部製品で顧客要求の検査漏れなどがあった。
菱三工業では、産業機器の保護材などで用いられるねずみ鋳鉄製品や球状黒鉛鋳鉄製品で不適切行為があった。製品の物性について顧客と取り決めた仕様の一部を満足しない、もしくは顧客指定の検査を一部省いた仕様不適合品を出荷していた。これら不適合品の出荷は2000年頃から全社再点検で判明するまで続いた。当該製品の安全性について、同社は顧客から「最終製品の安全性に問題はない」との回答を得ているという。
菱三工業の不適切行為は「品証部門における製品出荷管理の甘さ」(三菱電機)に起因していた。「担当者はこれまでの業務行為が正しいと教育され、また、管理者は大きなトラブルの発生がなく現行の品質管理で問題ないはずとの意識が先に立ち、結果的に品質管理の細部に目が届かなかったため、(不適切行為の)顕在化までに時間を要した」と説明している。
また、菱三工業以外にも三菱電機グループの一部製品で、製品認証に関する関係機関への申請不備や顧客要求検査の漏れがあった。対象となる製品は「公表できない」(三菱電機広報)とするが、産業用製品とみられる。同事象における安全性の懸念について、申請不備の面では「製品としての安全性に問題はないことを当社グループとして確認し、一部製品については関係機関での安全性の確認も継続して実施している」(同社)とする。また、顧客要求の検査漏れの面では、顧客から「最終製品の安全性に問題ない」旨の回答を得ているとした。
全社再点検は三菱電機子会社のトーカンで2018年12月に発覚した不適切検査を契機に実施された。三菱電機では他社の品質不正を受け、2016年度と2017年度の2回にわたり点検を実施していたが、調査対象や手法が不十分でありトーカンやこのほど発覚した不適切行為を見抜くことができなかった。今回の全社再点検では「それらの反省を踏まえ」(同社)、同社監査部を含めた社内第三者点検チームによる客観的な検証も行ったとする。
三菱電機は「本全社再点検の結果、新たな不適切行為が判明したことを真摯に反省する」とコメント。同社グループにおける再発防止策として「品質風土醸成の再徹底」「品質管理体制の強化」を実行するとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 三菱電機グループ、品質保証の不適切行為が新たに判明
三菱電機は2019年3月5日、同社グループの一部製品で関係機関への申請不備や品質管理上の不適切行為があったことを明らかにした。また、国土交通省は同日、同社製エレベーターの一部製品で国土交通大臣認定に不適合な仕様であることを公表した。 - 三菱電機子会社、不適切検査を発表――該当製品は253種783万個にも
三菱電機と同社子会社のトーカン(千葉県松戸市)は2018年12月4日、トーカンが製造したゴム製品の一部において、顧客仕様を満足しない、または検査未実施で出荷を行っていたことを発表した。 - 三菱電機の子会社で不適切検査か、契約仕様を満足せず出荷
三菱電機は2018年11月26日、同社子会社で主にゴム製品を製造販売するトーカン(千葉県松戸市)が、製造委託元と取り交わした契約仕様を満足しないゴム製品を出荷していたと発表した。また、トーカン製品を組み込んだ三菱電機の一部製品について顧客との契約仕様を満たしていない状態にあることを確認したという。 - IHIの不適切検査、背景は検査現場の「余裕のなさ」か
IHIは2019年3月8日、東京都内で記者会見を開き、同社の民間航空機用エンジン整備事業における不適切検査について、現時点で判明している事案の概要と原因を説明した。 - KYBの不適切検査、見えてきたデータ改ざんを犯す動機
KYBによる免震・制振用ダンパーの不適切検査が発生した問題で、同社は2018年10月19日、国土交通省で記者会見を行い、検査データ改ざんを行った動機を説明した。 - 社運をかけたダンパー開発の功績者が主犯、川金HDの不適切検査
川金ホールディングスは2019年2月7日、同社子会社で発生した免震・制振用オイルダンパーの不適切検査事案について、調査報告書と再発防止策を発表した。調査報告書では免震・制振用オイルダンパー事業に対する当時の経営判断や開発体制など多くの問題点が指摘され、現場が不正を犯す背景が浮き彫りとなった。