三菱電機グループ、品質保証の不適切行為が新たに判明:製造マネジメントニュース
三菱電機は2019年3月5日、同社グループの一部製品で関係機関への申請不備や品質管理上の不適切行為があったことを明らかにした。また、国土交通省は同日、同社製エレベーターの一部製品で国土交通大臣認定に不適合な仕様であることを公表した。
三菱電機は2019年3月5日、同社グループの一部製品で関係機関への申請不備や品質管理上の不適切行為があったことを明らかにした。また、国土交通省は同日、同社製エレベーターの一部製品で国土交通大臣認定に不適合な仕様であることを公表した。
三菱電機は、同社子会社のトーカン(千葉県松戸市)が2018年11月に公表した不適切検査を受けて、同社の国内全事業所と同社子会社を対象に品質保証体制の再検査を実施していた※)。今回明らかにした関係機関への申請不備と品質保証上の不適切行為はこの再検査によって発覚したものとなる。
※)関連記事:三菱電機子会社、不適切検査を発表――該当製品は253種783万個にも
三菱電機では再検査を継続中としており、「検査結果がまとまり次第、詳細を発表する」(同社広報)方針だ。今回新たに発覚した不適切行為の対象製品は、同日に国土交通省から発表されたエレベーターの大臣認定不適合の他、別の同社グループ製品も含まれるとみられる。
エレベーターの大臣認定不適合、ブレーキアームに認定外の材料を使用
三菱電機製エレベーターの一部製品では、戸開走行保護装置の大臣認定仕様に不適合な仕様となっていた。対象となる製品は大臣認定番号でENNNUN-0210、ENNNUN-0750、ENNNUN-1788、ENNNUN-1793、ENNNUN-2179が付与される5件で、2009年10月から2018年12月までの間に出荷された765台となる。
不適合はエレベーター巻上機のブレーキアーム材質にあった。認定仕様ではねずみ鋳鉄品「FC300」を用いるべきところ、対象製品では同「FC250」でブレーキアームが製造されたため、ブレーキアーム強度が認定仕様より低下していた。ブレーキアームの製造を担当する鋳物メーカーが誤った材料情報を生産システムに登録したことにより発生したとみられる。
三菱電機は大臣認定に不適合なブレーキアームの強度計算を行い、必要な強度を有していることを確認した。また、大臣認定不適合であるエレベーターでは過去に事故が発生しておらず、大臣認定仕様のブレーキアームに順次取り替える方針だ。
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