ZFが新シャシーコンセプトを発表、車両の動きを「ほぼ完全にコントロール可能」:自動運転技術
ZF Friedrichshafen(以下ZF)は2019年7月18日、乗り心地を重視したシャシーコンセプト「フライングカーペット2.0」を発表した。
ZF Friedrichshafen(以下ZF)は2019年7月18日、乗り心地を重視したシャシーコンセプト「フライングカーペット2.0」を発表した。
サスペンションや後輪操舵、ステアリング、ブレーキ、周辺監視センサーが全て連携することにより、車両の前後、横、上下の動きを「ほぼ完全にコントロールできる」(ZF)という。スポーツ走行にモードを切り替えることも可能。乗り心地を向上することは、車内で仕事をしたり映画を鑑賞したりする完全自動運転車に不可欠だとしている。
フライングカーペット2.0の核となるのはセンターとアクチュエーターを統合制御する「cubiX」だ。前方を監視する車載カメラから得た情報を基に、急制動や減速など予測される車両の動きを緩和する制御を行う。サスペンションのフルアクティブダンピングシステム「sMOTION」は、運転状況や路面のコンディションに応じて、四輪のサスペンションの挙動を独立して制御する。例えば、コーナリング中には内側のサスペンションが縮み、外側のサスペンションが伸びることで車体を水平に保つ。また、加減速や旋回時、路面のバンプを越えた時に発生するピッチやロール、リフトにも対応する。
フライングカーペット2.0はアクティブリアステアリングシステム「AKC(Active Kinematic Control)」も組み合わせることで、運動性能や取り回しの良さを実現したという。低速時は後輪が逆位相に、高速時は同位相に動くことで安定性を高める。sMOTIONと併用するとタイトなコーナーでの横滑りを防ぐこともできるという。さらにアクティブブレーキシステム「IBC(Integrated Brake Control)」も追加することで、「ほぼ全ての運転状況に対応する最適な車両運動制御を行う」(ZF)。
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