変化の荒波に直面する製造業、シーメンスは3つのポイントでモノづくりをサポート:製造ITニュース
Siemens Digital Industries Softwareは、東京都内で年次ユーザーカンファレンス「Realize LIVE Japan 2019」(2019年7月10〜11日)を開催。同イベントに伴って記者会見を開き、同社のビジネスや製品の戦略を説明した。
Siemens Digital Industries Software(以下、シーメンス)は、東京都内で年次ユーザーカンファレンス「Realize LIVE Japan 2019」(2019年7月10〜11日)を開催。同イベントに伴って記者会見を開き、同社のビジネスや製品の戦略を説明した。
会見に登壇した同社グローバルセールス、カスタマーサクセス担当エグゼクティブバイスプレジデントのロバート・ウェイン・ジョーンズ氏は、「現代は多くの変化が起きる複雑な時代だ。この新しい時代で企業として成功するには、複雑性を減らす努力をするのではなく、複雑性を利用して競合優位性を生み出すことが重要」と指摘。
このような状況の中、同社では製品設計とエンジニアリング面における「包括的なデジタルツイン」「フレキシブル/適応性」「オープン/エコシステム」の3つのキーポイントを強化し、顧客のモノづくりをサポートする体制を整えているとジョーンズ氏は強調する。
包括的なデジタルツインについては、「製品全体のライフサイクルを見据えたうえで進めていかないといけない」(ジョーンズ氏)。マルチフィジックスシミュレーションを活用し開発した製品設計データをバーチャル上の製造現場に展開することで、実世界の製造現場の自動化や製品性能の向上を果たすことができるとする。このリアルな製造現場や製品から得られた知見は、再びバーチャル上の設計や製造現場の改善に生かすというサイクルを回す原動力となる。このサイクルの基盤となるのが、同社のPLMツール「Teamcenter」だとジョーンズ氏は述べる。
フレキシブル/適応性の面では、クラウド上に展開された顧客の「つながる」を支援するエンジニアリングツール、エンタープライズデータソリューション、IoT(モノのインターネット)ソリューションへの投資を挙げる。ジョーンズ氏は「われわれのクラウドは最も堅牢(けんろう)性と適応性があり、クラウドを通じて業界特有のサービスを提供する。われわれの戦略でユニークな点としては、顧客に対してビジネスモデルを強制しているわけではなく、顧客に対して買い切り型やサブスクリプション型など複数の手段でソフトウェアを提供している。Your way, your paceと名付けた戦略で、われわれのソリューションを適応性ある手段で提供する」と説明。2018年8月に買収した、IoTアプリケーションのラピッドアプリケーション開発ツールを展開するメンディクス(Mendix)の技術も同社製品ポートフォリオ全体に組み込まれているとする。
また、ソニーとヤマハ発動機における導入事例も紹介された。ソニーでは3D設計ソリューションの「NX」とTeamcenterを6カ月間で導入、立ち上げを成し遂げ、以前のシステムと比較して25%のエンジニアリング生産性向上を果たした。また、ヤマハ発動機でも同じくNXとTeamcenterが導入され、二輪車開発のリードタイムを短縮化させたとする。
オープン/エコシステムの面では、シーメンスがこれまで技術のオープン化、エコシステム成長に投資してきた実績を強調した。3DモデリングカーネルのParasolidは多数のユーザーに使用されており、「市場のリーダーとして認められている」(ジョーンズ氏)。また、3Dモデルの中間データフォーマットであるJTについては、「業界標準として確立するために多くの投資を行い、ライブラリを提供してきた」とする。また、メンディクスの買収によって9万を超える開発者がアプリケーション開発に取り組んでいることを紹介した。
Siemens Digital Industries Softwareの各地域における2018年度業績では、日本市場が収益および収益成長率で最も優れていたと明かし、収益成長率では「過去5年間で2桁以上の伸びを維持している」(同社シニアバイスプレジデント兼アジア太平洋地域マネージングディレクターのピート・キャリア氏)とする。
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