デンソートヨタで車載半導体の先端研究、センサーやパワーモジュールも開発:製造マネジメントニュース
デンソーとトヨタ自動車は2019年7月10日、次世代の車載半導体の研究と先行開発を行う共同出資会社の設立に合意したと発表した。
デンソーとトヨタ自動車は2019年7月10日、次世代の車載半導体の研究と先行開発を行う共同出資会社の設立に合意したと発表した。
新会社の詳細は今後検討し、2020年4月の設立を目指す。新会社の本社はデンソーの先端技術研究所内に置く。資本金は5000万円で、出資比率はデンソーが51%、トヨタ自動車が49%となる。トヨタ自動車の出資を受け入れることにより、モビリティから見た知見を生かした研究開発を加速させる。従業員数は、新会社設立時で500人を計画している。
新会社では、次世代の車載半導体の基本構造や加工方法などの先端研究から、次世代車載半導体を実装した電動車向けのパワーモジュールや、自動運転車向けの周辺監視センサーといった電子部品の先行開発まで行う。
先端技術研究所はデンソーの要素技術の開発を担う。過去にはレーザーレーダーのLSIや、エアバッグECU用の加速度センサーをウエハーから手掛けた。有機ELディスプレイも、素子から見直して車載品質を満たす製品を量産した実績がある。現在は、SiCパワー半導体のウエハーに使用するSiC単結晶の作製や、ドライバーの状態を分析するための生体センシング、自動運転システムが担う判断のアルゴリズムなど、幅広く研究開発を手がける。
デンソーは、トヨタグループの自動運転や電動車に関して先端研究や先行開発、量産まで広く深く手がけることになる。自動運転では、統合制御ソフトウェアを開発するJ-QuAD DYNAMICS(ジェイクワッド ダイナミクス)、トヨタ自動車やアイシングループと自動運転技術の先行開発を行うToyota Research Institute Advanced Development(TRI-AD)に参加している。
電動化では、デンソーは2018年6月にトヨタ自動車から電子部品事業を譲り受けることを発表しており、当初の計画を前倒しして2020年4月から同事業を開始する予定だ。トヨタ自動車から譲り受ける電子部品事業は、ハイブリッド車(HV)のパワーコントロールユニット(インバーター、昇圧コンバーター、DC-DCコンバーター)やその構成部品の半導体、エンジンコントロールユニットなどで、これらの電子部品を開発、生産する広瀬工場をデンソーに移管する。
ドライブライン事業でも新たな動き
トヨタ自動車とジェイテクトは2019年7月10日、トヨタ自動車の完全子会社である豊精密工業の株式を、ジェイテクトに譲渡する検討を開始すると発表した。ドライブライン事業の高付加価値化や競争力の強化につなげる。2020年1月をめどに豊精密工業の株式の譲渡の検討を開始することに合意した。株式の譲渡が完了すると、豊精密工業が手掛けている駆動製品や歯車の製造、歯車の加工機はジェイテクトに移管される。
現在、トヨタグループのドライブライン事業は、ユニットごとにトヨタ自動車とジェイテクト、豊精密工業で開発や生産を分担している。また、デファレンシャルギアはトヨタ自動車と豊精密工業が、電子制御4WDカップリングなどトルクコントロールデバイスはジェイテクトが手掛けている。
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