歯科口腔外科向け骨再生材料を製品化:医療機器ニュース
東北大学は東洋紡と共同で、歯科口腔外科領域の骨欠損を対象とした骨再生誘導材を製品化した。商品名は「ボナーク」で、2019年秋から販売を開始する。
東北大学は2019年6月7日、東洋紡と共同で、歯科口腔外科領域の骨欠損を対象とした骨再生誘導材を製品化したと発表した。商品名は「ボナーク(Bonarc)」で、純国産医療機器として、同年秋から販売を開始する。
「オクタカルシウムフォスフェート・コラーゲン複合体(OCP/Collagen)」(商品名:ボナーク)は、同大学大学院歯学研究科 教授の高橋哲氏らの研究グループが研究開発した骨再生誘導材だ。同大学が日本ハムと骨再生を目的として共同開発したオクタカルシウムフォスフェート(OCP)と医療用コラーゲン(NMPコラーゲンPS)を組み合わせた複合材料となる。
スポンジ状のOCP/Collagenは、自分自身の骨を形成する細胞を賦活化させることで優れた骨再生能を示し、細胞や成長因子の補充なしで骨再生を可能とする。また、OCP/Collagenから出来た骨は元の骨と同等な性質を示す。使用法が簡便で煩雑な操作や管理体制が不要のため、優れた費用対効果を持つ。これらのことを動物実験や臨床試験で確認し、過去10年以上にわたって学会報告や論文発表を積み重ねてきた。
同大学と東洋紡は、OCP/Collagenによる歯科口腔外科領域の骨欠損修復を目標として、2015年から東北大学病院を含めた全国9施設の治験協力施設での臨床試験を進めてきた。それらの治験で、口唇裂、口蓋裂患者の顎裂部などの先天性疾患、歯科用インプラント体埋入を前提とした骨造成(上顎洞底拳上術、抜歯窩温存術)、嚢胞腔にボナークを適用し、優れた有効性と安全性を確認した。顎裂部の治療では、ボナークを用いることで自家骨移植が必要なくなり、有効な骨再生が可能になり、患者の入院期間を大幅に減らせた。
ボナークは国際市場でも関心が高く、今後の展開が期待されるという。また、ボナークによる自分自身の細胞の能力を利用する骨再生は、緊急手術での対応や整形外科領域、開頭開胸手術に伴う骨欠損の修復への応用も期待される。
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