AR活用でトレーニングコストを年間50万ドル削減、Aggrekoが取り組んだ業務改革:LiveWorx 2019(2/2 ページ)
米国マサチューセッツ州ボストンで開催されたPTC主催の年次テクノロジーカンファレンス「LiveWorx 2019」の分科会セッションにおいて、電力や温度制御の専門企業であるAggrekoがAR(拡張現実)を活用した技術者トレーニングの取り組みについて紹介した。
Aggrekoが実践したAR向けトレーニングコンテンツの開発
AR向けトレーニングコンテンツの開発に関しては、「ノンプログラミングでの開発も可能だが、さまざまなインタラクション要素を盛り込み、高度なことをやろうとすると、どうしてもJavaScriptやCSSのスキルが必要になる。開発者にトレーニング内容を理解してもらうのは大変なので、自分たちで開発することにした。だから私はトレーニング担当でもあり、開発者でもある。ARコンテンツを作成する際、ソフトウェア開発のバックグラウンドのない私たちにとって、PTCの『Vuforia Studio』は非常に助けとなった」とカスティージョ氏は説明する。
Aggrekoではトレーニングコンテンツ開発の要素として、モデル、ソフトウェア、資産の3つを掲げる。「われわれはADDEDD(※)モデルというアプローチを選択し、ソフトウェアとデータ資産(アセット)の準備を行った」とカスティージョ氏。特にデータ資産に関しては、CADデータの重要性を説き、「設計をアウトソースしているのであれば、ARのエクスペリエンスを最大化するためにも、CADデータをもらえるようにした方がよい。とにかく最初の段階から関係者を巻き込み、必要なデータ資産を全て入手できる環境を整えることが大切だ」(カスティージョ氏)と述べた。
※ ADDEDD:Analyze ⇒ Determine ⇒ Design ⇒ Experience ⇒ Develop ⇒ Deploy
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