新生ウインドリバー発足から1年、「自動運転技術」が事業戦略の中核に:組み込み開発 インタビュー(3/3 ページ)
組み込みOSの“老舗”として知られているウインドリバーが、インテルの傘下から離れ、再度独立企業としての歩みを始めてから約1年が経過した。同社 プレジデントのジム・ダクラス氏に、現在の状況や事業戦略などについて聞いた。
ウインドリバーが求められる理由とは
MONOist 自動運転技術をかなり重視しているとのことですが、他分野への展開についてはどう考えていますか。
ダグラス氏 自動運転と関わる技術は自動車業界だけでなく他業界にも展開できるとみている。だからこそ、これらの取り組みはコアビジネスとしての投資であり、新規事業という位置付けではない。
IoTへの期待は大きいが、その期待に応えるためにも自動運転の実現はとても重要だ。ドローンや船舶、炭鉱などそのユースケースは広がり、そのときIoTは数兆米ドルに達する価値を生み出すだろう。ウインドリバーにとって極めて大きなビジネスチャンスであり、だからこそ最高の技術を提供していく。
MONOist 自動車分野における現在のウインドリバーのポジションをどのように認識していますか。
ダグラス氏 組み込みOSであれば、IVIなどの車室内向けのシステムではQNXがリーダーだが、安全性とセキュリティをより重視されるその他の制御システムについては、当社とGHS(Green Hills Software)が分け合っている状況だろう。
現在は当社への追い風を感じている。理由としては、航空宇宙防衛分野での実績が生かせること、機能安全などの認証プロセスに強みがあることなどだ。既に500以上のシステムが認証されているという当社の実績には高い価値がある。
開発中のADAS(先進運転支援システム)や自動運転技術は、高い安全レベルを実現していることは確かだ。しかし、それがゆえに万が一の問題が起こることに敏感だ。この敏感さが、ウインドリバーがより一層を求められる理由になっている。
MONOist 日本の自動車業界とはどのような関係を構築していますか。
ダグラス氏 ソフトウェアの重要性に対する理解を深めている日本の自動車メーカーに対して、ウインドリバーは2つの役割を果たせる。1つは、従来通りの組み込みOSをはじめとするソフトウェアの提供。もう1つは、ソフトウェアに関する戦略立案への貢献だ。
例えば、ホンダの米国法人やデンソーなどとの協業では、いろんな話をさせていただいている。モビリティ企業を目指すのであれば、ソフトウェアは戦略的資産であり、当社が新たな役割を果たすという新しい流れも起こり得ることだ。
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