輸入ワインも自動検査で生産性3倍、画像処理技術を活用:製造マネジメントニュース
アサヒビールとNECは画像処理技術を活用した「輸入ワイン中味自動検査機」を共同開発した。同検査機の導入により、人が目視で実施している輸入ワインの検品作業の品質を維持しつつ、作業を効率化し最適な品質管理体制を目指す。
アサヒビールは2019年5月17日、NECと共同で画像処理技術を活用した「輸入ワイン中味自動検査機」を開発したと発表した。同検査機の導入により、検品作業の品質を維持しつつ、作業を効率化することで最適な品質管理体制を目指す。
同検査機は赤外光照明やカメラ、画像処理技術を用いて、ワインに異物が混入していないかを確認する。作業員が検査機にワイン瓶をセットし検査を開始すると、約10秒間、瓶が傾斜、旋回する。この動きによって液体に緩やかな渦流が発生し、ラベルの陰に隠れた異物まで高精度に検出する。
瓶の形状に応じた傾斜、旋回パターンや、赤、白などワインの液色に対応する光量、撮像タイミングをそれぞれ最適なものに設定することで、検査品種を選択すれば自動で検査可能だ。
両社は2019年4月から、横浜の倉庫に同検査機を1機導入して、テスト稼働を開始している。同年9月にはこれを3機に増設し、検査ラインとして1ラインを本格稼働させる。さらに2021年内に、関西と九州の倉庫にも順次ラインを導入し、全国3カ所に12機を設置。合計4ラインで自動検品ができる体制を構築する。これにより、時間あたりの検品効率は3倍になる見込みだ。
現在、輸入ワインの検品作業は、人が目視で実施している。検品作業には経験と熟練した技術が必要で、1ライン当たり10人ほどの作業員が検品作業に従事している。同検査機は、検品作業の効率化に加え、検査品質の均一化も図れる。今後は熟練者を含む検品作業者が不足すると見られるが、こうした労働力不足にも対応する。
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