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ファブラボとは何か? 国内ファブラボの歩みを振り返る日本におけるファブラボのこれまでとこれから(1)(3/3 ページ)

日本で3番目となる「ファブラボ渋谷」の立ち上げを経験し、現在、「ファブラボ神田錦町」の運営を行っている立場から、日本におけるファブラボの在り方、未来の理想形(これからのモノづくり)について、「これまでの歩み」「現在」を踏まえつつ、その方向性を考察する。

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日本のファブラボの歩み

 各ファブラボの運営形態はさまざまで、大学などの教育研究機関や地域のコミュニティーセンター、文化施設と一体化したもの、NPO/NGO、あるいは個人によるものなど、それぞれが独自の運営を行っています。

※画像はイメージです
※画像はイメージです(iStock.com/Harvepino)

 日本のファブラボの歩みを歴史的にたどると、「ファブラボジャパン」の誕生が最初のきっかけといえます。「日本にもファブラボを作りたい」という思いを持った有志が集い生まれた任意組織です。世界のファブラボを知り、日本におけるファブラボの在り方を考える組織でした。2010年、「Maker Faire Tokyo」でのファブラボの紹介や、デザインイベントでのお披露目が最初の大きなプロジェクトでした。特に、後者のデザインイベントでは、会場に工作機械を持ち込み、1週間の会期中に「来場者と共にカフェを作る」という企画を打ち出し、大きな反響を呼びました。

 この企画、実は「FabCafe」という名称を付けていたのですが、イベント終了後、この枠組みはロフトワークに引き継がれ、「FabCafe Tokyo」として渋谷で実店舗運営が始まりました。ちなみに、FabCafeの売り上げの一部は、ファブラボ文化醸成のために活用されています。

 そして、2011年5月、「ファブラボ鎌倉」(神奈川)と「ファブラボつくば」(茨城)の2拠点が誕生。その後、「ファブラボ渋谷」(東京)、「ファブラボ北加賀屋」(大阪)、「ファブラボ仙台」(宮城)と広がり、現在18カ所のファブラボが運営を行っています。

名称 所在(都道府県)
1 ファブラボ鎌倉 神奈川県
2 ファブラボつくば 茨城県
3 ファブラボ神田錦町(渋谷から移転) 東京都
4 ファブラボ北加賀屋 大阪府
5 ファブラボ仙台 宮城県
6 ファブラボ関内 神奈川県
7 ファブラボ大分 大分県
8 ファブラボ佐賀 佐賀県
9 ファブラボ浜松 静岡県
10 ファブラボ太宰府 福岡県
11 ファブラボ広島安芸高田 広島県
12 ファブラボおおた 東京都
13 ファブラボ山口 山口県
14 ファブラボ平塚 神奈川県
15 ファブラボ世田谷 東京都
16 ファブラボ紫波 岩手県
17 ファブラボ長野 長野県
18 ファブラボ品川 東京都
表1 日本におけるファブラボ(2019年5月現在)



 さて今回は、“ファブラボのこれまで歩み”を中心に紹介しました。次回以降、国内のファブラボにフォーカスしたプロジェクトや、それらを取り巻く環境の発展、描く未来像について順に紹介していきます。ご期待ください! (次回に続く

筆者プロフィール

梅澤陽明(うめざわ ひろあき)

1984年神奈川生まれ。一般社団法人デジタルファブリケーション協会 代表理事。ファブラボ神田錦町 チーフディレクター。大手建設機械メーカー設計部にて、超大型ショベルの設計開発に従事。在職中に「ファブラボ」活動を知り、起業を決意。ファブラボジャパンのメンバーとして、ファブラボ鎌倉の立ち上げサポートの後、ファブラボ渋谷をスタートさせる。運営メンバーとして現職。自身の専門から、数あるデジタルツールの中でも、3Dモデリングを活用したエンジニアリングや、3Dプリンティングを専門とする。デジタルものづくり手法を組み込んだ試作開発や、多品種小ロットプロダクトの企画製作に取り組みながら、ファブラボで語られる思想を社会に溶け込ませることを目指している。



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