連載
製品ライフサイクルから見た品質保証の課題と解決策:品質保証の本質とIoTの融合(2)(3/3 ページ)
連載第2回目となる今回は製品ライフサイクルの観点から、品質保証における代表的手法と発生しやすい問題を指摘し、それに対する解決策を提示します。
QFD活用の課題を解決するためには
前ページで挙げた問題2について、QFDは基本的にQA表と呼ばれる2次元表へ項目をまとめていくことで品質展開を行います。この時使用する道具としては表計算ソフトが良く用いられますが、記載項目が多くなり過ぎることや、製品種別ごとにQA表を作成するとバージョン管理が煩雑になるという問題が発生します。
また、繰り返し生産、個別受注生産、組み立て型、加工型といった生産形態の違いでQA表の種類も分かれるため、自社にあったQFD手法の確立と定着が難しいという意見もあります。他にも、過去トラ情報が整備されていないことや社内ノウハウが属人化しているといった課題もあります。
解決のポイントは次の通りです。
- 製品開発データベース構築によるデータ再利用、整合性確保
- 過去トラ情報と実績データベースとの連携
- AI(人工知能)活用による類似仕様の把握
QA表の改廃では表計算ソフトからデータベースシステムへ移行することで、データ再利用や2次元表間の整合性確保を実現できます。また、過去トラ情報の整備には生産実績情報を蓄積するデータベースとの連携を行うべきです。
社内技術ノウハウの属人化については、AI活用によって最適な仕様や部品の抽出ができるようになりました。専用設計を毎回行うのではなく、過去のノウハウから最も適した設計を流用できるようにすることが重要です。
以上で、製品ライフサイクルから見た品質保証の課題と解決策についての解説は終了です。次回は、製品開発と品質保証の関係性について見ていきます。
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