2018年度のリコール件数は過去2番目の多さ、制御プログラムの不具合が影響大:エコカー技術
国土交通省は2019年4月12日、2018年度のリコール届け出について、件数と台数の速報値を発表した。届け出件数は、国産車が前年度比26件増の230件、輸入車が同5件増で過去最多の178件となり、合計408件に上った。合計では過去2番目に多い届け出件数となる。
国土交通省は2019年4月12日、2018年度のリコール届け出について件数と台数の速報値を発表した。届け出件数は、国産車が前年度比26件増の230件、輸入車が同5件増で過去最多の178件となり、合計408件に上った。合計では過去2番目に多い届け出件数となる。
リコール対象台数は、国産車が前年度比4万6594台増の724万4311台、輸入車が同47万416台増で過去最多の97万3029台だった。合計のリコール対象台数は、前年度比51万7010台増の821万7340台となった。
リコール届け出のうち、対象台数が多かった上位3件についても発表した。対象台数が最も多かったのは、トヨタ自動車が2018年10月5日に届け出たハイブリッドシステムのパワーマネジメントコントロールコンピュータの不具合だ。異常判定時の制御プログラムが不適切なため、急加速など高負荷走行中に昇圧回路の素子が損傷した場合にフェイルセーフモードに移行できないケースが発生。これによりハイブリッドシステムが停止し、走行不能になる恐れがあった。
対象は「プリウス」「プリウスα」と、ダイハツ工業にOEM供給する「メビウス」の合計124万9662台に上った。制御プログラムの修正を実施するとともに、プログラム書き換え後に素子が損傷した場合は電力変換器のモジュールを無償交換した。
次いでリコール対象台数が多かったのは、トヨタ自動車が2018年9月5日に届け出たエンジンルーム内のワイヤハーネスの不具合だ。組付けのばらつきに関する検討の不足によって、エンジンルーム内の配線で保護カバーのない部位が周辺部品と干渉する場合があった。走行中の振動で配線の被覆が損傷し、配線同士が短絡、発熱することで、最悪の場合車両火災に至る可能性があった。リコール対象となったのは、プリウス、「プリウスPHV」「C-HR」の55万3870台。
対象となった全車両の配線を点検し、被覆に損傷がない場合は保護材を追加した。また、既に被覆が損傷しているワイヤハーネスは保護材を追加した新品と交換した。
3番目にリコール対象台数が多かったのは、スズキが2018年11月15日に届け出た電動パワーステアリングコントローラーの不具合だ。不具合を検出するプログラムが不適切なため、エンジン始動時やアイドリングストップからの再始動時にバッテリー電圧が低下していると、これを誤って不具合として検出することがあった。そのため警告灯が点灯してステアリングのアシスト機能が停止、ドライバーがステアリングを操作するのにより大きな力を要する恐れがあった。対象モデルは「ワゴンR」とマツダにOEM供給する「フレア」で、合計50万7118台に上った。
この他にも2018年度は日産自動車など検査不正問題に端を発した、完成検査をやり直す目的でのリコールや、SUBARU(スバル)の電動パワーステアリングやエンジン部品のバルブスプリングなど業績に大きな損失を与える不具合も相次いだ。
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