加工品の抜き取り検査を自動化、ロボットと3Dスキャナーを組み合わせてセルで提供:3Dスキャナー
アメテック クレアフォーム事業部は2019年2月25日、3Dスキャナーの新製品「Cube-R」を2018年3月5日に国内で発売すると発表した。新製品はロボットアームと3Dスキャナーを組み合わせたセル型の製品で、ライン内などで完全自動測定を実現するためのセルをターンキー型ソリューションとして提供する。参考販売価格は4000万〜6000万円。
アメテック クレアフォーム事業部は2019年2月25日、3Dスキャナーの新製品「Cube-R」を2019年3月5日に国内で発売すると発表した。新製品はロボットアームと3Dスキャナーを組み合わせたセル型の製品で、ライン内などで完全自動測定を実現するためのセルをターンキー型ソリューションとして提供する。参考販売価格は4000万〜6000万円。
金属加工品などの抜き取り加工を簡単に
同社の3Dスキャンの特徴は、デュアルカメラセンサー「C-Track」という2つのカメラと照明を備えた機器で、測定エリアを規定することにある。C-Trackの撮影エリアで、3Dスキャナー「MetraSCAN」などの位置や向きなどの情報を認識させることで、MetraSCANで取得した形状データを正しく配置して記録することができるというものだ。
新製品である「CUBE-R」は、同社が既に製品として展開している高精度光学3Dスキャナー「MetraSCAN 3D-R」をファナックの産業用ロボットである「M-20iA」に搭載し、光学式トラッカーとのキャリブレーションを自動で行うキットを立方体状のセル内に組み込み、3mまでのサイズの対象物の計測を高速、高精度で、完全自動計測を行う自動測定システムである。ワークはロータリーテーブルに載せるために7軸で、底面以外はほぼ全面の3Dスキャンが可能となる。
AMETEKグループのクレアフォーム(CREAFORM)セールスバイスプレジデントのピエール・ユーグ・アラート(Pierre Hugues Allard)氏は「ポータブル型3Dスキャナーで市場を開拓してきたクレアフォームだが、製造現場での検査自動化へのニーズが高まり、産業用ロボットの組み合わせで導入するケースも増えてきた。従来はインテグレーターとの協力で自動化システムを構築してきたが、引き合いの拡大や納期の短縮などのポイントで、ターンキー型の自動化ソリューションを提供することにした」と狙いについて述べている。
特徴は測定スピードが早いという点だ。「自動車のサイドパネルであれば10分で認識、3分でソフトウェア処理を行い、15分以内に測定データを活用できるようになる」(アメテック クレアフォーム事業部 プログラムマネージャの宮崎晋輔氏)。またインテグレーターに依頼した場合と比べて「短納期化が実現できる他、精度が上がらなかった際や、トラブル発生時における責任の切り分けなどの手間がなくなる」(宮崎氏)としている。
また、CADデータを取り込み、測量データとCADデータとの比較を自動で行うソフトウェアなども展開する。「主要なCADとは連携可能で、データを取り込める」(宮崎氏)としている。
導入を決めた場合、据付工事は約3日、トレーニングが約13日で完了し、16日で本格稼働を開始できる。用途については、主に自動車産業向けで、インラインの自動検査ではなく「抜き取り検査を想定している」(宮崎氏)。販売目標は「グローバルで1年間に10台の販売を目指している」(アラート氏)としている。
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