汎用CAE「ANSYS 2019 R1」、構造解析は「いかに速く、効率的に解析ができるか」:CAEニュース(3/3 ページ)
アンシス・ジャパンは2019年2月1日、同社の汎用CAEの最新版「ANSYS 2019 R1」に関する記者説明会を開催した。発表会前半では流体解析と構造解析、電磁界解析といった分野別製品、後半ではシステム解析関連製品について紹介した。本稿はそのうち、構造解析ツールと電磁場解析関連のトピックについて紹介する。
フルアセンブリー解析ツールなど
フルアセンブリー解析ツールである「HFSS 3D Layout」は、筐体とプリント基板のアセンブリーモデルをフルで取り込んで解析できる。大規模計算になるフルアセンブリー解析において、モデルの一部を計算をブラックボックス化することで計算効率を高め、シミュレーションのセットアップ時間を大幅短縮可能だという。
シグナルインテグリティツール「HFSS/SIwave」の機能としては、新たに、基板全体を対象とする高速EMIチェッカー「EMI Scanner」を追加した。EMIおよびEMCの問題を引き起こす可能性のあるネットと部品配置をハイライトしてくれる。信号機、電源グランドネット、差動信号、ビア、対策部品の配置など、ルールチェック項目は豊富だという。エラーについては自動でレポート生成が可能だ。
電磁界および低周波解析ツール「Maxwell」についてはモータ電磁力と振動騒音の連成解析機能を追加した。MaxwellとMechanicalの連携機能として、モーターNVHソリューションを提供。電磁界とモーダル振動、音場の解析に、ヘッドランプなどの灯体リアルタイムシミュレーションソフトウェア「VRXperience」を組み合わせることが可能だ。
UIについては、Maxwellと「Icepak」で日本語ユーザーインタフェース環境を提供開始。メニューコマンドとリボン、右クリックメニューは日本語表示可能だ。
◎併せて読みたい「CAE」関連ホワイトペーパー:
» 横浜ゴムのタイヤ開発を推進する“AI×CAE×ヒト”による三重奏
» 設計者が実施すべき解析“3つ”のポイントと最新CAE技術動向
» 【体験レポート】設計者CAEの有効性を“パスタ”で学ぶ
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