熱設計ツール「Icepak」にもCAD機能が追加、面単位での境界条件設定も可能に:テクノフロンティア2018
アンシス・ジャパンはエレクトロニクスの要素技術展示会「TECHNO-FRONTIER 2018」内の「熱設計・対策技術展」で同社の解析ツール群を展示。2018年5月に販売開始予定の電子機器の熱設計支援解析ソフトウェアの次期最新版「ANSYS Icepak 19」の情報を明かした。
アンシス・ジャパンは2018年4月18〜20日に幕張メッセで開催したエレクトロニクスの要素技術展示会「TECHNO-FRONTIER 2018(テクノフロンティア2018)」内の「熱設計・対策技術展」会場で、電子機器の熱設計支援解析ソフトウェアの次期最新版「ANSYS Icepak 19」についての情報を明かした。同製品は2018年5月中に国内で販売開始予定だ。
「ANSYS Icepak」は同社の流体解析ソフトウェア「ANSYS Fluent」をベースにしており、電子機器の温度予測に特化した製品。熱伝導、対流熱伝達、放射が予測できる。移動変形や反応、混相流は扱わない。ANSYS Icepak 19は電磁界解析製品「ANSYS Electronics」に組み込まれる形で、機能やGUIを大きく変更する。境界条件は従来のモデル(パーツ)ごとではなく、面などフィーチャ単位での設定が可能になる。
さらに従来はダイレクトモデラ―の「SpaceClaim」経由で専用フォーマットに変換していたが、新製品では3D CADのネイティブデータ(一部の種類が対応)や中間ファイルなどのCADデータを取り込み可能になる他、製品自身にも新たにモデリング機能を追加する。またPythonやVisual Basicなどに対応するスクリプト機能にも対応する。
従来のIcepakから大きく製品が様変わりするため、「旧ユーザーが戸惑わないよう従来製品と新製品はしばらく共存していく」(展示ブース説明員)という。
アンシス・ジャパンは熱設計・対策技術展でANSYS Icepakなど熱流体解析ツールを要に、同社のさまざまな電子機器設計関連のシミュレーションツールを紹介した。パワー半導体の冷却や水冷関連を意識した多流体解析などに注目が集まったという。解析初心者を対象にした「ANSYS Discovery Live」も展示したが、「今回メインの展示となったツール群を見て、難易度が高いと感じたユーザーが積極的によく見ていった」(説明員)とのことだ。
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