マルチフィジクス解析を身近に、設計者に使ってほしい――新製品「ANSYS AIM」:CAEニュース
アンシス・ジャパンは汎用CAEソフトウェアの新製品「ANSYS AIM(エイム) 17.2」を発表。同製品のユーザーは解析業務に詳しくない設計者をターゲットとし、設計プロセスの初期に使用されることを想定している。同製品は解析初心者でも取り組みやすくする工夫をいろいろ凝らしている。
アンシス・ジャパンは2016年9月8日、汎用CAEソフトウェアの新製品「ANSYS AIM(エイム) 17.2」を発表した。英語および日本語の2言語に対応する。同製品ではこれまで別製品で提供してきた、構造、流体、熱、電磁界解析を1つのプラットフォームにまとめ、マルチフィジクス解析が実行可能だ。
同製品のユーザーは解析業務に詳しくない設計者をターゲットとし、設計プロセスの初期に使用されることを想定している。GUIは解析初心者向けに分かりやすく作り、難解になりがちなマルチフィジクス解析に少しでも取り組みやすくする工夫を凝らした。
境界条件の設定は3色に色分けすることでステータスが分かりやすくなっている(データパネル、以下画像)。未入力の項目やエラーがある項目も文字色を変えたりマークを出すなどして分かりやすく知らせてくれる。
流体/構造連成解析についても、解析モデルの準備や解析手順を簡易化する機能を備える。例えば、管の3Dモデルデータから流体の解析領域を自動的に抽出してモデル化する機能も備える(以下、デモ動画)。
ANSYS AIMには実験計画法に基づく最適化設計の機能も備える(以下、デモ動画)。
これまでANSYS製品を一切利用していなかったユーザーもANSYS AIMのライセンスのみ購入すれば、AIMの全機能を使うことが可能だ。既存ユーザーについては「ANSYS Workbench」を仲介させることで、「ANSYS Mecanical」などANSYSの各解析ツールと連動させて使用できる。
「大手顧客より『より使いやすい解析シミュツールが欲しい』という要望をよくいただいていた。ANSYS AIMはその要望を反映した製品。一昔前、解析は一部の高い学位を持った技術者の仕事だったが、近年はユーザーのすそ野が広がってきている。従来のように専門部隊だけで解析していては、今要求されている開発スピードに追い付かない。また(解析に詳しくない設計者が)解析について一から勉強するわけにもいかない」(アンシス・ジャパン 代表取締役 大古俊輔氏)。
「中国で150人の解析未経験のエンジニアに集まってもらい、2時間ほどANSYS AIMのトレーニングをした。その後、解析の課題を同製品で取り組んでもらったところ、74人が正しく解けた」(ANSYS アジア太平洋地域バイスプレジデント トム・キンダーマン氏)。
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