設計・製造の解析ツールにとどまらず次世代モビリティ―開発の支援を、デジタルツインも――ANSYS:CAEニュース
アンシスは2018年10月5日、同社のCAE新製品に関する記者説明会を開催した。アンシスは構造、流体、エレクトロニクス、半導体、組み込みソフトウェア、光学の6分野の物理現象が解析できるシミュレーションプラットフォーム「ANSYS 19.2」を提供する。
アンシス・ジャパン(以下、アンシス)は2018年10月5日、同社のCAE新製品に関する記者説明会を開催した。アンシスは構造、流体、エレクトロニクス、半導体、組み込みソフトウェア、光学の6分野の物理現象が解析できるシミュレーションプラットフォーム「ANSYS 19.2」を提供する。自動車開発であれば、HMI開発、エンジン、ボディー/シャシー、空力設計、自動走行、バッテリーと自動車全体に渡るツールを提供できる。
新製品となるANSYS 19.2は2018年9月18日にリリース。CFD(数値流体解析)ソフトウェア関連では新しいメッシュツール「ANSYS Fluent Mosaic」を搭載。多面体要素で異種のメッシュを自動結合することが可能だという。他、自動車用半導体向け機能安全分析ツール「medini analyze」を追加し、自動走行車などのシステムシミュレーション機能など拡張している。
アンシスが自動車業界において注力する分野は、自動車、電動化、スマートコネクテットブロダクト、積層造形(AM)である。また設計と運用/保守をつなぐデジタルツインの仕組みも提供する。
アンシスは2018年5月には光学シミュレーションソフトウェアを開発していたOPITSの買収を完了している。ANSYS製品でレーダーやLIDAR(ライダー)、カメラなどのシミュレーションが可能になった。積層造形については2017年11月に3DSIMを買収し、パウダーベッド方式金属3Dプリンタ用シミュレーションツール「ANSYS Additive Print」を提供している。
ユーザー事例として、Volkswagen(VW)のモータースポーツチームにおける、山岳を走る国際自動車レース「Pikes Peak International Hill Climb」の挑戦について挙げた。アンシス本社はVWと共同でPikes Peakのプロジェクトに取り組んできた。完全電気駆動のレース車両「I.D. R Pikes Peak」は2つのモーターとバッテリーを搭載している。2018年6月に開催されたPikes Peakでは7分57秒148という記録を出し、EVだけではなくガソリン車など含めた全てのカテゴリーの新記録も更新したということだ。この大会ではガソリン車においても8分を切ることは難しいとされていた。このプロジェクトでは、ANSYS製品を用いて、エネルギー管理、電気、空力といった幅広い範囲のシミュレーションを実施。大会を模したドライブテストの実施や、バッテリーの冷却システムの開発に短期間で取り組んだ。
「従来のような設計・製造に関するシミュレーションの部分(個別の技術)にとどまらず、(「自動車」に限定しない)『モビリティ』が必要とする新たなチャレンジを支援したい。IoT(モノのインターネット)やデジタルツインについては、製品提供やサービスの分野へも及ぶことから、自社だけではなく、PTCなど他分野のパートナー企業と共に取り組んでいる」(アンシス・ジャパン カントリーマネージャー 大谷修造氏)。
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