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三菱電機のスマート生産AIは素早く学ぶ、事前学習なしでの行動分析も:人工知能ニュース(2/2 ページ)
三菱電機は、東京都内で開催した研究開発成果披露会において、スマート生産分野で適用可能な新たなAI(人工知能)技術として「段階的に素早く学ぶAI」と「人のわずかな動作の違いも見つける行動分析AI」を披露した。
事前学習なしでわずかな動作の違いを見つける
一方、人のわずかな動作の違いも見つける行動分析AIは、大量の教師データやラベリングといった事前準備を必要とする機械学習を行わなくても、人のわずかな動作の違いを見つけられることが特徴。またAIによる分析処理に大きな計算能力を必要としないため、同社の従来技術と比べて20分の1となる数秒〜数分程度で処理を完了できるという。
展示では、工場内での組立作業をイメージした繰り返し作業を対象とした行動分析AIによる分析結果を示した。まずは、3次元カメラの映像データから、作業員の両手の3次元位置をデータとして取得し、それを時系列による波形データとして計測。最初2〜3回の繰り返し作業の波形データを基に標準動作パターンを決定し、その後の作業内容から標準的ではない動作を検出する。
実際に9回行った繰り返し作業のうち、通常は右手から行う作業を左手で行っている8回目の他、見た目ではかなり分かりづらいものの異なる作業手順だった6回目も非標準的作業として検出できていた。「事前学習をしていないにもかかわらず、6回目の作業が通常と異なっていることを分析できていることは大きな価値がある」(同社の説明員)としている。
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