ニュース
半導体後工程のターンキープロバイダーへ、ヤマ発が新川とアピックヤマダを買収:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
ヤマハ発動機、新川、アピックヤマダの3社は2019年2月12日、東京都内で会見を開き、同日に発表した事業統合について説明。「日本のモノづくり力を結集した半導体後工程のトータルソリューションを提供する」(ヤマハ発動機)という。
新川とアピックヤマダの事業構造改革も必須
今回の事業統合の背景には、中国や台湾を中心とした海外の受託製造企業が、SIPや高密度モジュール部品をより効率よく製造するために、半導体後工程の複数プロセスと表面実装プロセスの統合を求めているという市場要求の変化がある。
加藤氏は「例えば、香港のASMは買収したシーメンスの表面実装機事業を中核に半導体後工程プロセスとの融合を進めている。表面実装機大手のFUJI(旧富士機械製造)も、ボンディング装置大手のファスフォードテクノロジを2018年8月に買収した。ヤマハ発動機と新川、アピックヤマダの3社が協力すれば、この市場変化に対応できると考えた」と説明する。また、ヤマハ発動機と表面実装機市場を争うパナソニックは、ボンディング装置をラインアップに持ち、次世代のダイシング技術といわれるプラズマダイシングで東京精密と協業するなどしている。
なお、事業統合を進める上で、常態的に赤字が続くなど業績が厳しい新川とアピックヤマダ、両社の事業構造改革も必須とみられる。新川は2008〜2017年度まで、2016年度を除いて営業赤字を計上。アピックヤマダも2012〜2017年度の6期のうち、黒字だったのは3期だけだ。
事業構造改革に向けた施策としては、共同開発プラットフォームモデルによる製品の統合、3社で国内外に展開する工場の最適化・統廃合などを検討していくとしている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- ヤマハ発動機唯一のフェローはインテル出身、2030年に向けデジタル改革に挑む
ヤマハ発動機がIoTやAIに代表されるデジタル戦略を加速させようとしている。このデジタル戦略を推進しているのが、インテル出身であり、同社唯一のコーポレートフェローでもある平野浩介氏だ。平野氏に、ヤマハ発動機のデジタル戦略について聞いた。 - ヤマハ発動機で社長交代、2030年の成長に向けて若返り図る
ヤマハ発動機は、取締役会において代表取締役の異動を決定した。2018年1月1日付で代表取締役社長 社長執行役員に日高祥博氏(ヤマハ発動機 取締役 上席執行役員 企画・財務本部長)が就任し、社長の柳弘之氏は代表権のある会長を務める。 - 2021年に売上高2兆円、営業利益率9%、ヤマハ発動機らしいソリューションで
ヤマハ発動機は2018年12月11日、東京都内で記者会見を開き、2019〜2021年の中期経営計画を発表した。「モビリティの変革」「ヤマハらしいソリューション」「ロボティクス活用」を注力領域と位置付け、技術の組み合わせや協業によって、新しい市場や技術の開拓を進める。中計の期間内に、M&Aを含め1400億円の投資の予算を確保した。 - 表面実装機の技術で細胞を1個1個より分け、効率的な抗体作製の実現へ
ヤマハ発動機は2018年8月31日、東京都内で会見を開きバイオベンチャーのイーベックに5億円を出資すると発表した。ヤマハ発動機が医療分野のベンチャー企業に投資するのは今回が初めてとなる。ヤマハ発動機は中期経営計画で成長戦略の1つとして掲げる「ソリューションビジネスへの挑戦」を加速させる。イーベックに対するヤマハ発動機の出資比率は23%で、筆頭株主となる。 - ヤマハ発動機の戦略拠点、徹底した製販一体化で短納期化を実現
ヤマハ発動機は、表面実装機や産業用ロボットの開発、製造、販売を行う「新浜松IM事業所」を完成。新拠点を軸に製販一体化を強化しIM事業部の売上高600億円、利益率20%の目標達成を目指す。 - 日立ハイテクが実装機事業から撤退、ヤマハ発動機に資産を譲渡
日立ハイテクノロジーズ(日立ハイテク)が表面実装機事業から撤退すると発表した。併せて、表面実装機事業の資産をヤマハ発動機に譲渡することも明らかにした。譲渡金額は公表していない。