初期費用の安さがウリ、東京理科大発ベンチャーの「マッスルスーツ」:DMS2019
イノフィスは、「第1回 工場設備・備品展」(2019年2月6〜8日、東京都江東区・東京ビッグサイト)で、動作補助設備「マッスルスーツ」を展示した。イノフィスは2013年に設立された東京理科大学発のベンチャー企業で、現在は介護福祉用途での動作補助器具『マッスルスーツ』を開発、販売している。
イノフィスは、「第1回 工場設備・備品展」(2019年2月6〜8日、東京ビッグサイト)で、動作補助設備「マッスルスーツ」4種を展示した。
イノフィスは2013年に設立された東京理科大学発のベンチャー企業。2001年から人工筋肉を使用したウェアラブルロボットの研究を始め、現在は介護福祉用途での動作補助器具『マッスルスーツ』を開発、販売している。
腰や腕の動作を補助し、中腰作業の負荷を軽減
マッスルスーツは圧縮空気で駆動するアクチュエータ『McKibben型人工筋肉』で、上半身の伸展動作(下半身に対して上半身を回転させる動き)を補助する器具。腰から0.4m離れた位置にあるものを中腰姿勢から持ち上げるときに、製品によるが最大で25.5〜35.7kgf相当の補助力を出力する。
中腰姿勢で重量物を運搬する作業は腰への負担が大きく、従業員の身体負荷が問題になりやすい。政府の調査によれば、「業務上の腰痛によって4日以上休業した労働者の数」は、2017年(平成29年度)で5000人を超えている(厚生労働省「業務上質病発生状況」より)。特に、看護や介護などの保健衛生業では全体の30%を占める。
マッスルスーツを導入した介護施設では勤務人数の限られた夜勤の時間帯に活用することで、ベッドから車椅子などへの移動や排泄介助など腰への負担が大きな業務の負荷軽減に効果を上げているという。また、現在は介護に限らず農業、製造業、物流など、中腰姿勢での重量作業が多い業種に広く導入実績を重ねる。
入浴介助から工場でのハンドクレーンの代替にも
マッスルスーツの製品ラインアップは、49万8000円の「マッスルスーツ Edge」や198万円の「マッスルアッパー」などの4種類。マッスルスーツEdgeは電源不要のスタンドアロンタイプのうち最も軽いエントリーモデルとの位置付けで、器具重量は4.3kg。防水装備の追加も可能で、介護現場でも特に負担が大きいとされる入浴介助や屋外での農作業などに対応する。Sサイズの推奨適用身長は150〜165cmと小さく、主に女性をターゲットとしている。
マッスルアッパーは腕と腰の両方を補助するモデル。McKibben型人工筋肉を4本使用し、コンプレッサーから外部供給される圧縮空気を呼気スイッチで制御して作動させる。「世界初の装着ロボット型バランサー」と同社が紹介する通り、ハンドクレーンに近い使い方が想定されている。
マッスルスーツ導入のメリットについて、同社担当者は「初期費用の安さ」を挙げる。工場での重量物移動にはハンドリフターやクレーンなどが用いられるが、床や天井などの現場環境に制限が発生する。マッスルスーツは人間が装着して動くため大掛かりな設備投資が不要で、未舗装の農道や段差のあるような現場でも購入後すぐに利用が可能となる。
圧縮空気を1回充てんすることで約3〜4日の連続稼働が可能。装着にかかる時間は10秒〜20秒ほどで、スピードが求められる現場にも無理なく適用できるとする。「1現場当たり2、4、6台……という感じで導入されている。中腰で重いものを持ち上げるという、いわゆるピンポイント動作の補助での活用に効果を発揮する」(同社担当者)。
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