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障害は飛行機のブラスト――自動運転が日本の航空運輸を支えるか:自動運転技術(2/2 ページ)
羽田空港の制限区域内で自動運転の実証実験が始まった。SBドライブや先進モビリティ、ANA(全日本空輸)など6社が実験に参画し、2020年に開催される東京オリンピック期間前後で空港内と周辺地区における乗客輸送の自動化を目指す。
増加する航空需要を支えるために空港内の自動運転実用化は急務
空港地上支援業務は法律や空港の規定に従う必要があり、本実証実験も例外ではない。また、空港内で自動運転が普及するには地上係員とのスムーズな連携も不可欠だ。制限区域内でのバス運転業務に普段から従事し、今回の実証実験にも協力する運転士は、日常業務との違いに関して「運転が手動か自動かといった違いしかない」と語り、特に戸惑いもなく実験に従事できているとする。
羽田空港内制限区域で自動運転を行う様子。1分40秒頃にブラスト確認のため一時停止するシーンを確認できる(クリックで動画再生) 出典:SBドライブ
航空需要は年々増加の一途をたどる一方で、航空運輸業就業者数は2007年の約5万人から2016年には約4万人と近年は減少傾向となっている。ANAは空港地上支援業務について「人手をかけた労働集約的な業務が多い」との認識を示す。
同社では、空港地上支援業務の省力化と効率化を目指し旅客輸送の自動運転化以外にも、パッセンジャーボーディングブリッジの自動装着、貨物の飛行機への自動積み付け/取り外し、プッシュバック/トーイング業務のリモート化を進めていると紹介した。
同実証の他に、空港制限区域内での自動運転実験は成田空港、仙台空港、中部空港で7グループによって行われる。これらの実証実験を監督する国土交通省は2018年度内に実験結果を取りまとめ、有識者会議で空港内自動運転の実現に向けた課題を議論する予定だ。
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